木青NET - 記事一覧
発行日時 | 見出し |
---|---|
2025/10/6 23:32 |
活動紹介 令和7年9月5日 第3回経営研修会レポート
![]() ![]() こんにちは!令和7年度日本木材青壮年団体連合会、会長補佐としてユナイテッド推進タスクフォースを担当している瀧澤です。9月5日に大阪で開催されました「第3回経営研修会」のレポートをさせて頂きます。 この経営研修会は全3回のプログラムであり、今回は第3回目(最終回)でした。 (第2回のレポートを担当してくれた宮田委員長ありがとうございました)
この経営研修会では「共生社会」をテーマにし、さまざまな人々がすべて分け隔てなく暮らしていくことのできる社会、ともに支え合い、さまざまな人々の能力が発揮されている活力ある社会の実現にむけて、経営者として理解を深め、木材業界だからこそできる解決策を考えるための研修会でした。
そしてこの最終回にご登壇頂いたのが株式会社シーアイ・パートナーズ代表取締役の家住教志さんです。 家住さんは2009年に誕生したお子様に重度の聴覚障害が発覚したのを機に子供の療養や将来を考え、他社にて障害者雇用人事を経験したことで、障害の多くは育成環境の不足した社会構造であることを確信し、株式会社シーアイ・パートナーズを設立しました。 ![]() <右が株式会社シーアイ・パートナーズ代表の家住さん>
障がい福祉業界には、部分的なアプローチでは解決が難しい社会構造上の課題が多く存在しているため同社では「教育」「企業」「医療」の3分野との連携をしています。 そしてこの連携は福祉の枠を超えた社会変革型プラットフォームとして機能するため、利益がでず、赤字経営が続くこの業界でもしっかりとした経営をされています。
私が一番面白いと思ったのがユニークなM&A手法です。通常であればM&Aした会社の社長は解任するか期限を決めて辞めてもらうことが多いかと思いますが、なんと社長はそのままで給料もそのままの状態でM&Aをするというものでした。 そして買収時には株式交換を活用することでキャッシュアウトを抑制し、社長のモチベーションを維持するという手法で次々とM&Aを進めているということです。この方法を使えば日本木青連の中でも面白い連携ができるのではないかと少しわくわくして聞かせて頂きました。 また最後に家住さんが経営する施設も見せて頂きましたが、そこで働く障がい者の方が作成したポスターや動画などのレベルの高さに驚き、弊社でも是非お願いしたいと思いました。
今回で経営研修会は最後になりますが、この3回の経営研修会を終えて講演してくださった3名の皆様には共通して「社会課題の中にはチャンスがある、そのチャンスをしっかりと見極めて事業を見直すことで、新しい道が見えてくる」という考え方があったのではないかと思います。 私たち木材業界も色んな課題が山積みですが、その課題の中にあるチャンスを見逃さずに掴んでいかなければなりませんね。 ![]() <セミナー会場は障がい福祉サービスTECTEC天王寺校でした> |
2025/10/6 23:22 |
【安藤きらり氏コラム】みどりの大使の『木育日記』 第1回
![]() ![]()
はじめまして。ミス日本みどりの大使 安藤きらりと申します。東京都出身、現在は社会人として会社に勤務しており、今年で25歳になります。私は2024年1月に開催されたミス日本コンテストにおいて、みどりの大使を受賞し、森林・林業、木材産業に関する様々な活動をしてきました。
ミス日本と聞くと、煌びやかな姿を想像する方が多いかもしれませんが、みどりの大使はそうではありません。全国各地の山に足を運び、アウトドアウェアで活動することがほとんどです。植樹をしたり、チェーンソーの資格を取ったり、実際に山でお仕事をされてる方にお話を聞いたり、日々の活動は発見と学びでいっぱいです。ミス日本みどりの大使には、日本の森林・林業、木の文化の大切さを広く社会に発信し、次世代に対してみどりの魅力を伝えるという指命があります。専門的な知識や特別な経験はありませんが、若者・女性ならではの視点を大切にしながら、日本の森林・林業、木材産業の課題解決に一歩でも近付くよう、努めてまいりました。
ミス日本にエントリーしたきっかけは、"こどもたちの未来を豊かにする"という夢を叶えるためです。学生時代に、保育園や学童保育にてこどもたちの教育に関わるアルバイトを経験し、「実際に触れること」が減少していると気付きました。デジタル教科書、電子黒板、YouTubeの教育コンテンツ等、端末ひとつあれば、何もかも学べる時代になりました。便利になった反面、画面では学べない大切なことが置き去りになっている気がしました。こどもたちが生きる力を身につけるには、実体験を通じて、豊かな感性の基盤を築く必要があると思います。インターネットや電子機器が普及する現代だからこそ、こどもたちが画面に依存せずに、肌で感じる体験を多くしてほしい!そう思いました。
私はこの願いとみどりの大使の使命を実践するべく、みどりとこどもたちの架け橋を目指し、活動に注力しました。
活動を通じて、こどもたちにはたくさんのことを教えてもらいました。切っちゃダメ!と木を抱きしめていた子に森林循環の話をしたら、「木って切ることも大切なんだね」と理解をしてくれたり、樹齢の話をすると、「この木はすごーくおじいさんなんだね!けどよぼよぼしてない!」と言われたり、丸太を見て、「お疲れ様」とトントンしたり、まっすぐなこどもたちの心に、何度も感銘を受けました。
僭越ではございますが、こちらのコラムでは、こどもたちとみどりが触れ合うことによって私が感じたことを中心に、ミス日本みどりの大使の活動を振り返っていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
![]() 2024年ミス日本コンテストにて ![]() 緑の募金の強化月間初日に岸田元総理大臣を訪問 ![]() 日本木材青壮年団体連合会の全国大会にて ![]() 木育体験プログラムの一環で子供達と木を題材としたダンスをしました |
2025/10/6 23:06 |
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第6回
![]() ![]() リプレイス大作戦その4~外材、化石燃料以外の代替
・はじめに:木質バイオマスの広がる可能性 前回までで化石燃料の代替を如何に木質バイオマスで実現するかをご説明してきましたが、それ以外にも新たな木質バイオマスの新たな活用方法や既存の木質バイオマス以外の素材のリプレイスが研究、開発、社会実装されてきています。その一部を今回ご紹介したいと思います。
・食料代替 日本の輸入量最大の食料は飼料用とうもろこしで、金額ベースでもたばこ、豚肉に次ぐ3番目の輸入額の作物です。輸入量は1,500万トン、金額ベースでも約6,000億円とかなり大きくなっています。
飼料を木質由来の物にすることで飼料も含めた食料自給率向上への貢献ができそうなのが、日本製紙グループの開発した元気森森です。木材をチップ化し、脱リグニン処理を経て製造されます。廃液は燃料に使えるそうです。
既に家畜飼料として元気森森を活用している畜産業者も存在しており、既に社会実装されている技術、製品です。元気森森の工場を地域に誘致し、林業と畜産業連携を行えば木質バイオマスの地産地消を推進することができ、海外に流出している飼料代金や燃料代金を地域に取り戻すことが可能です。 養牛用飼料 元気森森®|基盤技術研究所(技術紹介)|日本製紙グループ
また、日本製紙グループは食品添加剤のセレンピアフードという製品も製造販売しています。 セレンピア® フード|Sustainable PRODUCTS|日本製紙グループ
他にも木質バイオマスを活用した食料品への転換事例は既に数多く実現されています。 ・木からお酒を造る。→ウッドスピリッツ社、WoodSpirits
・“木材”で香りづけされた調味料。→浅沼醤油、「木を食べる」? “木材”で香りづけされた調味料が新登場 森林と林業を未来へ…老舗しょうゆ店の思い【岩手発】|FNNプライムオンライン
・他にも多くの企業で木のパウダーを食品に混ぜる取り組みは行われています。
古典的な木の食料への転換は木の芽をてんぷらにして食べる事です。私の家でもタラやコシアブラのてんぷらはよく食べます。
・鉄筋コンクリート、鉄骨建築物代替 木材を高層建築物に使えるように集成材、ハイブリッド集成材、CLT材、ハイブリッド建材、・・など多くの技術、製品が開発されてきました。
構法に関しても、例えば接合部分は木造建築の弱点とされてきましたが、山形県の株式会社シェルターのKES構法(日本、米国、カナダで特許取得)により金物を使った構法により強度の高い木造建築が可能になりました。
1995年の阪神淡路大震災の時には73棟のKES構法で建築された木造住宅が被災地にあったそうですが、全て倒壊を免れたそうです。
その後も同社は耐火部材のCOOL WOOD(日本、カナダ、水素で特許取得)や曲線やひねりをもたせた部材のFREE WOODを開発されてきました。
環境負荷の高い鉄鋼製品やコンクリートをなるべく使わず、木造建築に代替するということが重要です。私も所属している三菱総研のプラチナ構想ネットワークでは9階建て以下の建築物は全て木造建築に!と提言しています。都市空間全体を「第二の森林」として機能させる「木造都市」構想です。都市そのものを「二酸化炭素を排出する場」から「二酸化炭素を長期にわたって固定する場」へと変えていくという言い方もできるでしょう。
・新しい建材、内装材、家具、プラスチック代替技術 岐阜県に株式会社Spacewasp(スペースワスプ)というスタートアップ企業があります。この企業は木材や植物廃棄物から樹脂を抽出し、独自の樹脂加工技術を用いて、独自開発した3Dプリンターを使って全自動で内装材、家具、建材を製造します。 ![]() 出典:スペースワスプ社ホームページ
独自開発した3Dプリンターで生産された製品例 出典:スペースワスプ社ホームページ
このように3Dプリンターを使って生産していますから、様々な形状の建材、家具、内装材に活用可能です。例えば、既存の製材所、合板工場、製紙工場で発生する廃材をアップサイクルして新たな価値のある商品を作ることが可能となります。
廃材を有償で引取ってもらっていた企業も有償で売却ができ廃棄物処理されないというメリットがあります。実際に運送会社で発生する木製パレットを有償で引取り、家具や建材に活用され始めています。
・新しいガラス代替技術 アメリカ・メリーランド大学カレッジパーク校に所属する材料科学者Liangbing Hu教授ら研究チームは、より効果的な方法で「透明な木材」を作りだすことに成功しました。
新しく作られた透明な木材は、従来の透明木材と比べて50倍もの強度を持っている、断熱性能が高い、軽いとのことです。
ガラスは製造時に高温を長時間使いますからエネルギー消費が大きな産業です。この技術はガラスを木質バイオマスにリプレイスすることでこの大きなエネルギー消費を抑え、ガラスよりも価値(強度、断熱性能、軽さ)の高い製品を作り出すというものです。
製造方法は簡単で、 1. 過酸化水素を塗布して天日にさらす。1時間程度で白くなります。 ![]() 2. 海洋開発用に設計された透明なエポキシ樹脂を木材に注入し、木材の中にある小さな空間や穴をすべて埋めて硬化させます。木材の中にエポキシ樹脂が充てんされることで、白かった木材が透明になります。この透明化の原理は、白くて不透明なティッシュを水に濡らすと、半透明になって向こう側が透けて見えるようになるのと同じ理屈だと、研究チームは説明しています。
私の調べたところによるとまだ、製品化して販売したという企業は無いようですから、研究機関や行政から支援してもらって製品開発に取り組んでみてはどうかと思います。
・新しい外装材、構造材、刃物代替技術 2018年、ステンレスの3倍も硬い木質由来の材料が先述のガラス代替技術と同じ米国のメリーランド大学の科学者リャンビン・フー(Liangbing Hu)氏が開発しました。
同氏は数年をかけて技術を改良し、かつては製造に一週間以上かかっていた工程を数時間まで短縮することに成功しました。商用化の準備が整うと、彼はその技術をスタートアップ企業InventWood(インベントウッド)に提供します。現在同社は外装材の製造販売に注力しています。
今年の夏より、鋼鉄よりも硬い「スーパーウッド(Superwood)」の生産に取り組み鉄鋼やコンクリートをリプレイスしていく戦略のようです。建築物が排出する炭素の90%は、建設時に使われるコンクリートと鋼鉄によるものであり、スーパーウッドが普及すれば、建築業界にエコロジーな革新をもたらせるでしょう。
InventWoodによると、スーパーウッドは、鋼鉄よりも50%高い引張強度を誇り、強度対重量比では10倍の性能を有するといいます。
加えて、高い防火性能や腐食・害虫への耐性、ポリマー浸透による屋外使用の適性といった特徴も持ち合わせているとのこと。さらに、スーパーウッドは、圧縮処理での色味が凝縮により、高級な熱帯広葉樹のような美しい外観も実現しています。染色を施さなくても、クルミ材やイペ材のような深みのある色合いになる点も注目すべき特長です。
また、刃物への適用も可能でしょう。 ![]() 上記、ナイフが木製であることに注目!
日本には岐阜県の関市のように世界でも有数な刃物産地があります。(世界の3S:関市、シェフィールド、ゾーリンゲン)。木製のナイフを製造し、新たなブランドで高付加価値商品を開発し、世界に展開できたらいいですね。
・最後に 今回は外材や化石燃料以外で私が注目する木質バイオマスへの代替技術を列挙させて頂きました。他にもありますが、経済的地球環境的にインパクトの大きな食料、鉄鋼、コンクリート、プラスチック、ガラス代替製品にフォーカスを当てました。
今後もこうした技術はたくさん出てくると思いますが大切なことはこうした技術を早急に取り込んで自社製品開発に活かす事です。
なかなか研究機関にアクセスできないとか、資金が不足するとか、問題は山積しているでしょうが、現在は研究機関も金融機関も新しいチャレンジには応援していこうという機運が高まっています。
また、セミナーやシンポジウムも毎日どこかで開催されているような状況ですから、こうしたイベントに参加し、関心のあるテーマの講演者と意見交換させて頂ければ意外に簡単に新しいアイデアが実現するかもしれません。 以上、ご関心あれば下記までご連絡下さい。 宮本義昭:メールアドレス:ym00876216@gmail.com
(過去のコラム) 第一回:人手不足対策、地域の空き家問題対策、リフォーム事業拡大 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第1回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・海外人材紹介と定着サービス:フューチャーデザインラボ社のご紹介
第二回:少子化問題と木材産業の成長 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第2回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・中堅中小企業の売上利益拡大を支援:Revitalize社のご紹介
第三回:リプレイス大作戦その1~石炭の代替 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第3回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・林業コンサルティング会社:KOSO社のご紹介
第四回:リプレイス大作戦その2~外材の代替 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第4回 - 日本木材青壮年団体連合会
第五回:リプレイス大作戦その3~天然ガスと石油の代替 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第5回 - 日本木材青壮年団体連合会
(所属企業、団体) 株式会社バルステクノロジー 代表取締役社長 兼 株式会社KOSO アドバイザー 兼 日本木材青壮年団体連合会 広報委員会アドバイザー 兼 株式会社Revitalize アドバイザー 兼 株式会社Dione アドバイザー 東京科学大学(旧東京工業大学)基金特別会員 プラチナ構想ネットワーク 法人会員 先進EP研究会 会員 Asagiラボ 賛助会員 東海バイオコミュニティ 法人会員 林野庁 森ハブ・プラットフォーム会員 東京丸の内イノベーションプラットフォーム林業分科会 蔵前バイオエネルギー 正会員
(拙著:代表作) |
2025/9/22 0:26 |
活動紹介 2025大阪・関西万博シンボル 大屋根リングが示す木材の可能性
![]() ![]() ・世界最大の木造建築物・大屋根リング
今年、2025年に開催されている大阪・関西万博。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、158の国・地域、7つの国際機関が大阪・夢洲に一堂に会し、共に未来社会について考えを発信する場として、国内外から高い注目を集めています。
そのシンボルが、巨大な木造建築物「大屋根リング」です。大きさは直径約615メートル、一周およそ2kmに及び、ギネス世界記録にも「世界最大の木造建築物」として認定されています。使用された木材の総量はおよそ27,000m³とされ、その7割をスギ・ヒノキなど日本国産木材で賄っています。 ![]() <写真>2025大阪・関西万博シンボル 大屋根リング(2025年6月 当会会員撮影)
・短工期実現のため建設業界と木材業界が総力結集
この巨大建築を実現するうえで最大の課題は、極めて短い工期でした。2022年7月に受注者が決定し、2025年4月の万博開幕までに、世界でも類例のない規模の木造建築物の設計、木質材料の選定・調達、そして工事を完了させる必要があったのです。
大手建設会社と木材業界は早い段階から協議できる体制を整え、設計・木材調達・施工の各分野で協力を構築しました。その結果、当初計画より1カ月前倒しとなる2024年8月に大屋根リングが開通(全周が接続)し、2025年2月末には竣工・引き渡しが完了しました。
受注者決定から2年7カ月、2023年6月末の着工からわずか1年8カ月で竣工を迎え、無事に大阪万博のシンボルとして供用開始されることとなりました。
この成果は建設事業者の設計・施工・管理能力を示すとともに、短期間で大量の木材を供給しきった国内木材産業の底力を、世界に示すものとなりました。 ![]() <写真>CLTの製造風景(提供:株式会社サイプレス・スナダヤ)
・大規模建築物への木材利用の歴史
日本は古来より木材を建築に有効活用してきました。法隆寺五重塔をはじめ、建築後数百年以上を経た木造建築物が多く現存し、日本が古くから木材を用いた高度な建築技術を有してきたことがうかがえます。
しかし、太平洋戦争期の連合国軍による爆撃で多くの家屋が火災に見舞われ、多大な犠牲が生じた教訓から、戦後復興に際して日本政府は「燃えない街づくり」を掲げました。その結果、建築基準法では非常に高い防火・耐火基準が定められ、大型建築物はコンクリートや鉄骨で建設することが推進されました。
一方、世界では逆の流れが進みました。中央ヨーロッパを中心に、環境負荷の少ない木材で大型建築物を建設する動きが加速し、CLT(Cross Laminated Timber、直交集成板、2025/07/13 木力NOTE 第2回参照)など新しい木質構造材も開発されました。
日本は木材利用に関する技術・文化・資源を有していながら、この世界的潮流に乗り遅れ、大規模木造建築において後進国となってしまいました。しかし、大屋根リングの実績は、この遅れを大きく取り戻すきっかけになったと考えられます。 ![]() <写真>44m(11階建て)純木造高層ビルPort Plus 大林組横浜研修所(引用:日本木材青壮年団体連合会主催、木材活用コンクールWebサイトより) ・大屋根リングが示した木材産業の可能性
日本で最も木材を利用しているのは住宅産業です。木造住宅のみならず、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅でも、内装などに少なくない木材が使用されています。そのため、木材産業は住宅着工戸数に大きな影響を受けます。
住宅着工戸数は1990年にピークを迎え、年間171万戸に達しました。しかし、バブル崩壊後の不況や人口減少により、2024年度にはピークの46%にあたる79万戸まで減少し、今後も減少が続くと予想されています。この動きに連動し、木材産業の経営環境も厳しい状況が続いてきました。
しかし時代は大きく変わろうとしています。環境への意識が高まる中、成長過程で二酸化炭素を吸収し、炭素を固定できる木材資源は「環境負荷の少ない素材」として注目されています。近年では都市部で10階層を超える高層建築物も木造で実現しています。
住宅着工戸数の減少は当面続くと見込まれますが、一方で非住宅の大型建築物に大量の木材が使われる未来が、目前に迫っています。これは大断面集成材工場やCLT工場だけでなく、そこに原木などの資源を供給する素材生産事業者、集成材やCLTの加工を担うプレカット事業者、さらに内装の木質化を支える木工事業者や内装木材製造事業者など、業界全体に波及効果をもたらすと考えられます。
2025大阪・関西万博のシンボルである大屋根リングは、川上から川下、そして建設事業者が一体となって実現した巨大プロジェクトです。ここで示された木材業界の力があれば、日本の木材産業の未来は非常に明るいものとなるはずです。 ![]() <写真>2025大阪・関西万博シンボル 大屋根リング(2025年6月 当会会員撮影) |
2025/9/22 0:07 |
日本木青連ネットワーク紹介 第3回
![]() ![]() 日本木青連の会員企業を「お仕事での連携」を絡めて紹介していくコーナー。 第3回目は石川県よりお届けします。
# 復興への響き〜能登ひばが紡ぐ地域サプライチェーンの物語 ## フルタニランバーを中核とした川上から川下までの連携
1はじめに
令和6年1⽉1⽇に発⽣した能登半島地震は、⽯川県の⽊材業界に深刻な影響をもたらしました。製材⼯場の倒壊、⼭林の⼟砂崩れ、後継者不⾜の深刻化という危機的状況の中で、創業120年の歴史を持つフルタニランバー株式会社(⾦沢市、古⾕隆明社⻑)が展開する「ATENOTE(アテノオト)」は、地域材の新たな活⽤⽅法を⽰しています。また公益社団法⼈ ⽯川県⽊材産業振興協会の理事として、能登ひば⾼付加価値化プラットフォーム「ATE-NET」の開設に中⼼メンバーとして携わるなど、復興と持続可能な林業の実現に向けた希望の光となっています。 ![]() 2フルタニランバーという企業
フルタニランバー株式会社は明治37年(1904年)、船⼤⼯として創業した⽼舗⽊材会社です。⽯川県⾦沢市に本社を構え、現在は5代⽬となる古⾕隆明社⻑のもと、従業員37名で国内外の⽊材を取り扱う総合⽊材商社として事業を展開しています。 同社の特徴は取扱樹種の豊富さにあります。アジア圏、北⽶、豪州、欧州など世界各国と直接取引を⾏い、全国でも随⼀の多品種多品⽬を扱っています。近年は環境問題への配慮から国産材の取扱いを増加させており、IoT技術やRFIDを活⽤した商品管理体制の構築、スマホアプリによる発注システムなど、アナログとデジタルを融合させた⾰新的な経営を⾏っています。 ![]() 3震災の影響と挑戦
令和6年能登半島地震は、県内の林業・⽊材業界に深刻な被害をもたらしました。輪島市の鳳⾄⽊材はじめとする多くの製材所が倒壊し、機械の損傷、原⽊の散乱といった物理的被害が発⽣。さらに⼭間部では⼟砂崩れが多発し、林道が⼨断されて現場への到達すら困難な状況となりました。 能登森林組合によると、技能職員数は約100⼈から現在60⼈まで減少しており、震災による住⺠避難の⻑期化により、後継者不⾜がさらに加速することが懸念されています。 しかし、このような厳しい状況の中でも、フルタニランバーのATENOTE プロジェクトにより 、能登ひばの新たな価値創造を通じて地域復興に貢献する姿勢を⽰しています。 ![]() 4ATENOTE プロジェクトの意義と全国展開への発展
「ATENOTE(アテノオト)」は、⾳楽⽤語の「note(⾳)」に樹種名の「アテ」を重ね命名された地域材活性化プロジェクトです。楽器メーカーと連携し、材料として能登ひばの活⽤を提案しその価値を共有することで、バイオリン、ギター、ベース、ウクレレ、和太⿎、三味線など多岐にわたる楽器が製作され、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正⽂さんやストレイテナーのホリエアツシさんといった著名なミュージシャンとのコラボレーションも実現しています。 ![]() 写真左:ホリエアツシ 写真右:後藤正文
※ストレイテナー ホリエアツシさんと共に能登ヒバエレキギターを製作。2025年8⽉9⽇、終戦から80年を迎えた⻑崎で⾏われたライブイベントなどで活⽤されている。
※ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正⽂さんが静岡県藤枝市に建築している⾳楽スタジオの内装と本⼈⽤のエレキギターに能登ヒバと古材を活⽤している。
ATENOTE プロジェクトの成功により、需要の創出、さらには⼈材リクルートにも⼤きな効果を発揮しています。
特筆すべきは、BRAHMANのTOSHI-LOWさんが学⻑を務める「幡ヶ⾕再⽣⼤学」との連携です。古⾕社⻑は2024年9⽉に同⼤学の林業部⻑に就任し、震災直後のOAUライブ会場での出会いから始まった⽀援活動は、能登島避難所への物資⽀援、ビーチクリーン活動、New Acoustic Camp 2024での体験型⽊材教育の全国展開へと発展しています。 ![]() 写真左:BRAHMANと組⼿什 写真中央:炊き出し活動 写真右:NewAcousticCamp出展
5県内サプライチェーンの現状と展望
能登ひば⾼付加価値化プラットフォームの中核として2024年2⽉に開設された「ATENET」ポータルサイトでは、「アテ林業・能登ヒバを活かした能登の創造的復興サポーター」制度を運営し、⽯川県内に加えて全国から40を超える組織がサポーター登録を⾏っています。
古⾕社⻑は公益社団法⼈⽯川県⽊材産業振興協会の担当理事として、このプラットフォーム運営の中⼼的役割を担うとともに、⽇本⽊材⻘壮年団体連合会(⽇本⽊⻘連)において令和6年度常任理事、北信越地区⻑、復興委員会実質的委員⻑を兼務し、全国の⽊材業界ネットワークを活⽤した⽀援体制を構築しています。 ![]() ATE-NETフォーラムにて(2025年2⽉)
6まとめ〜持続可能な地域の森の循環の実現に向けて〜
フルタニランバーは単なる材料販売業者の枠を超え、⽯川県の森林資源と⼈々を結ぶ多⾯的な活動を展開しています。幡ヶ⾕再⽣⼤学林業部⻑としての全国的な⽊材教育推進、アーティストとの復興⽀援コラボレーション、⽇本⽊⻘連での復興委員会活動など、古⾕社⻑の多岐にわたる⼈的ネットワークが地域復興の原動⼒となっています。
従来建築材中⼼の⽤途から楽器材への⾼付加価値化により地域材の需要創出と林業の活性化を実現し、⾳楽という⽂化を通じて「⼈と⾃然をつなぐ」理念のもと持続可能な森林資源の利⽤を促進しています。「ATENOTE プロジェクト」は単なる商品開発を超え、能登の⾥⼭⽂化を次世代に継承し、「ATE-NET」は地域コミュニティの復興と持続的発展を⽀える重要な取り組みとなっているのです。
⽇本⽊⻘連の会員同⼠のサプライチェーンにおいても、このような創造的で持続可能なアプローチが、震災からの復興と業界の未来発展の鍵となることでしょう。
株式会社桑⽊ 森⽥ ⾂ |
2025/9/21 23:55 |
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第5回
![]() ![]() リプレイス大作戦その3~天然ガスと石油の代替
・はじめに:化石燃料とその製品の輸入額は35兆円 2022年度の財務統計によると化石燃料とその製品の輸入額は35兆円もあります。言い換えればこれだけの大きなお金が毎年海外に流出しているということになります。
前々回のコラムで石炭の代替に関して書きましたが、今回は残りの石油と天然ガスの代替をどうするかについてご説明したいと思います。
まず、林業や木材産業に関係無い天然ガスについてですが、これは主に都市ガスと発電(LNG(液化天然ガス)火力発電)に使われています。都市ガスはオール電化(家庭であれば調理器具はIHクッキングヒーター、給湯機はエコキュートというヒートポンプシステムで置換が可能)で不要にできます。発電に関してはまた別のコラムでご説明しますが、太陽光発電と蓄電池に置換可能と思います。したがって、天然ガスはオール電化+太陽光発電+蓄電池で置換が可能なので林業や木材産業とは関係が無いでしょう。
問題は石油です。石油は様々な燃料や素材の基礎化学品に使われており、林業がものすごく発達して日本の全ての山から木材を搬出できたとしても石油を木材で置き換えようとすると15~20年程度で日本の森林は消滅します。
したがって、石油の代替はひと工夫必要そうです。
・石油から作られる燃料や素材の基礎化学品
石油は様々な炭化水素系の物質が混ざっており、これを製油所で分離精製します。 ![]() このように沸点の温度差により、 ・燃料系石油製品:LPガス、ガソリン、灯油、ジェット燃料、軽油、重油 ・素材系製油製品:ナフサ、アスファルト 上記のように分離精製されます。
燃料系の石油製品は基本的には電気や水素に代替されるでしょう。具体的にはLPガスはオール電化、ガソリンは電気自動車や燃料電池車、灯油はエアコンなどの電気式の空調機器、軽油も電気自動車や燃料電池、重油は電気ボイラーやヒートポンプ、水素ガスバーナーなどに置き換えられるでしょう。
ただし、2050年までに置換が困難な燃料が唯一ジェット燃料です。小型航空機や短距離航空機は電動化や燃料電池に置き換えられるかもしれませんが、多くの航空機はジェットエンジンを置き換えるのは難しいと言われています。
したがって、ジェット燃料は何らかの形で石油以外から精製するしかありません。最近はテレビのCMでも流れていますが廃食用油からジェット燃料を製造され始めています。しかしながら、これでは全く需要を満たすことはできません。
最大の問題は素材系製油製品であるナフサです。ナフサからプラスチックに代表される樹脂、薬品、塗料、合成ゴム、・・・とあらゆる有機性マテリアル製品が製造されています。組成には炭素を含みますから太陽光発電や風力発電の電力を使い水の電気分解で水素を作るようにはいきません。炭素源が必要なのです。
もう一つの素材系製油製品のアスファルトですが、ご存知の通り道路で使われています。これに関しては最近道路用のコンクリートが開発されたようなのでそう言ったものに代替されていくでしょう。黒いアスファルトは熱を吸収する為、進展する温暖化の観点からも光を反射するコンクリートの方が良いでしょう。
ここまでをまとめると、 1. 燃料系→ジェット燃料 2. 素材系→ナフサ この代替を考えないといけません。要するに炭素源をどのように大量に調達するか、です。
・ジェット燃料とナフサの炭素源候補 逆有償で調達できる可能性がある物は有機廃棄物でしょう。 例えば、畜産排せつ物、下水汚泥、焼却される家庭ゴミや産業廃棄物、などです。 畜産排せつ物と下水汚泥に関しては、農業の肥料で活用するのが良いと思います。農業で使われる肥料の多くも輸入が多く、この自給率向上も重要です。
そうなると残るは焼却されている家庭ゴミや産業廃棄物となるでしょう。
ここで1つのアイデアですが、これらの廃棄物を焼却するのではなく、熱分解し、水素と一酸化炭素及び二酸化炭素に分解。水素と一酸化炭素からFT合成とジェット燃料直接合成触媒(富山大学 椿研究室)を使ってジェット燃料を合成します。
水素と二酸化炭素からはメタノールを合成します。これは既に実用化されている技術となっております。また、現在、ナフサから様々なマテリアルが合成されているのですが、メタノールを起点とした化学産業に転換することを三菱ガス化学さんが提唱されています。 ![]() 出典:三菱ガス化学ホームページより「循環型メタノール構想」
しかしながら、実際の日本のジェット燃料やナフサ使用量から考慮すると有機廃棄物からだけでは不足するというのが実際のところです。
そこでお待たせしました木材の登場です。木材も基本的には水素と炭素と酸素が基本組成ですから熱分解することで水素と一酸化炭素と二酸化炭素と水蒸気に分解できます。 ![]() 出典:バイオ水素エナジー社ホームページより
上記は発生するガスの組成ですが、これ以外に炭素が2%程度発生するそうです。
・有機廃棄物と木材のコンビナート構想 ![]() 以上を踏まえて、現在日本全国に存在する廃棄物の焼却施設を有機廃棄物コンビナートにリプレイスし、SAF(持続可能なジェット燃料)と化学産業の基礎化学品であるメタノールを合成します。
現在、廃棄物の焼却施設は全国に2,500ヶ所存在しているようです。産業廃棄物系は肥料に転換できる物が多いと仮定して、今回は家庭ゴミだけを対象にすると年間3,500万トンもの廃棄物が焼却されているようです。施設数は2023年3月30日時点で環境省調べでは1,028ヶ所あるようです。
今後の人口減少やトラックドライバー不足を鑑みると大規模な施設を作ると廃棄物の輸送距離が延びてしまいますので、なるべく小型な施設にする必要があるでしょう。
また、施設費用削減の為には量産型にする必要があると思います。毎回、プラント設計、施設設計、専用部品の製造、などしていてはコストが莫大になります。
したがって、理想的にはなるべく汎用部品を使って設備は構築し、輸送用コンテナに設備は収容し、トレーラーで運んで設置場所に置いて配管及び配線工事すれば完成するような超小型コンビナートにしてはどうかと思います。
また、製造したSAFやメタノールも専用の輸送用コンテナに容器ごと収容し、そのまま配管をはずしてトレーラーで運べばトレーラーの接続だけで済むので回収時間が劇的に削減できます。空のトレーラーを持っていき、満充填されたトレーラーにつなぎ直すだけでいいのです。配管をはずしている最中にもSAFやメタノールが作られてしまうかもしれませんので、2セットは置いておく必要があるでしょう。
世の中の多くのガス化装置がうまくいっていない理由が部分燃焼方式を採用していることです。廃棄物自体を乾燥させ、燃焼させることで高温を得るのですが、温度が低いとタールが十分分解せずに残ってしまいます。また温度が高い、つまり、大量に酸素を送り込んでしまえば二酸化炭素が多くなってしまい有用な一酸化炭素が減ってしまいます。
したがって、部分燃焼方式は採用せず、電気加熱やSOFC燃料電池の排熱を利用してはどうかと思います。電気に関しては昼間の太陽光発電の余剰電力(電力卸市場において0.01円/kWhの最低価格になる時間帯が増えています)を活用し、また、蓄電池、または、水電解装置を設置して昼間の安価な電気を貯蔵し、夜間活用します。廃棄物は燃やすわけではないので乾燥も不要になります。
うまくいっているガス化装置は2段階になっており、低温で一度熱分解してから高温で更に分解し、水素や一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気を得ているようです。
各地方自治体では廃棄物の処理に大きなコストをかけていますが、このコストを大きく2つに分解すると廃棄物収集コストと廃棄物焼却施設維持管理コストとなります。廃棄物収集コストは超小型量産タイプコンビナートを分散配置することでコストを圧縮し、廃棄物焼却施設維持管理コストは化学産業に支払いSAFやメタノールが高く売れた場合は減額してもらうような制度にしてはどうかと思います。施設運用自体は化学産業に民営化し、自治体の廃棄物処理施設運用の仕事から開放してあげるのが良いのではないかと思います。
地方の構造は中心市街地があり、そこから放射状に道が広がっており、途中に農村集落があり、その先は段々と山深くなり、山村集落が点在しているという構造になっていると思います。
この構造を活かせば、放射状に延びている中心市街地と農村集落や山村集落を結んでいる道路の途中に有機廃棄物コンビナートを設置すれば、農村集落や山村集落の人がゴミを運んでくれるかもしれません。私もそうですが、毎日、中心市街地には行っていますので、途中にゴミの回収施設(有機廃棄物コンビナート)があれば持っていきます。毎週決められた時間帯、曜日に出すのはかえってストレスになります。もちろん、人によるのでしょうけど。
同様な考えで木材コンビナートも日本全国に1,000ヶ所程度作ってはどうかと思います。 ![]() こちらは木材産業が集積されるのでかなり大規模になりますが、それでも現在の施設よりも多くなります。化学産業の規模が大きいので規模も数も多くなります。
林業現場で苦労する仕分け作業をコンビナート側で行い、A~C材は木材運搬トレーラーで、D材は箱車トレーラーでコンビナートに運びます。各工場で発生する端材や木皮はバイオコークス炉で使い完全な木材のカスケード利用を実現します。
バイオコークス炉は1,000℃以上の高温が必要でしょうから、排熱を各工場で活用します。熱のカスケード利用です。
また、伐採したての木材は50%以上水ですから水を製紙業で活用します。水素は化学産業で不足すると思いますので化学産業では水の電気分解で水素を得ます。このように水のカスケード利用も取り組む必要があります。
このように各工場の副製品を活用することでコンビナート全体の効率を高め、図にある工場だけでなく、集成材工場やCLT工場、化学産業のMTO反応器(メタノールからエチレンやプロピレンを合成する)、MTP反応器(メタノールからプロピレンを合成する)、なども併設することで更に効率を高めることが可能でしょう。
最後に前回コラムでも掲出した図を再度掲出して今回のコラムは終わります。 ![]()
(注意、補足)現状では、日本製鉄やJFEスチールの方とお話ししましたが高炉製鉄はここには含めない方が良いと考えています。
以上、ご関心あれば下記までご連絡下さい。 宮本義昭:メールアドレス:ym00876216@gmail.com
(過去のコラム) 第一回:人手不足対策、地域の空き家問題対策、リフォーム事業拡大 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第1回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・海外人材紹介と定着サービス:フューチャーデザインラボ社のご紹介
第二回:少子化問題と木材産業の成長 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第2回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・中堅中小企業の売上利益拡大を支援:Revitalize社のご紹介
第三回:リプレイス大作戦その1~石炭の代替 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第3回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・林業コンサルティング会社:KOSO社のご紹介
第四回:リプレイス大作戦その2~外材の代替 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第4回 - 日本木材青壮年団体連合会
(所属企業、団体) 株式会社バルステクノロジー 代表取締役社長 兼 株式会社KOSO アドバイザー 兼 日本木材青壮年団体連合会 広報委員会アドバイザー 兼 株式会社Revitalize アドバイザー 兼 株式会社Dione アドバイザー 東京科学大学(旧東京工業大学)基金特別会員 プラチナ構想ネットワーク 法人会員 先進EP研究会 会員 Asagiラボ 賛助会員 東海バイオコミュニティ 法人会員 林野庁 森ハブ・プラットフォーム会員 東京丸の内イノベーションプラットフォーム林業分科会 蔵前バイオエネルギー 正会員
(拙著:代表作) |
2025/9/21 23:48 |
木力NOTE ―木で未来をつくる人たちへ 第7回
![]() ![]() 第7回 日本木青連の組織体制について
日本木材青壮年団体連合会(日本木青連)会長の長谷川泰治です。 会長コラム「木力NOTE」第7回では、日本木青連の組織体制と運営体制についてご紹介します。 正直に申し上げると、このテーマは日本木青連の関係者以外にとってはあまり面白くないかもしれません。しかし、どんな体制で日本木青連が動いているのかを知ることは、入会や出向(各会団から全国組織である日本木青連への出向という意味)を検討している方や、縁があって日本木青連に関わることになった方にとっては少し役立つ情報になるのではないかと思い、このコラムで取り上げることにしました。どうかご了承ください。 どんな組織にも役職がありますが、日本木青連にも多くの役職があります。日本木青連は北海道から九州までの8地区で構成されています。連合会としての運営や結束を維持し、さまざまな事業を進めていくために、全国の会団から会員が役員として出向し、それぞれが役割を担って活動をしています。そのため役職も多くなり、出向した当初はこの役職の多さに戸惑う人も少なくありません。会員同士で呼び合うときも役職名で呼んだり、名前に役職を添えて呼んだりすることが多いため、役職名が尊重されている団体なのだと感じます。役職は本来「人に割り当てられた地位や役割」を示すものですが、日本木青連は全体的にフラットな組織なので役職は「地位」より「役割」が重視されています。 ![]() <理事会の様子>
さて、その役職ですが、役員として会長から監事まで次の7つに分かれています。
• 会長 … 会を代表し、会務全般を主宰。総会では議長を務めます。 • 副会長 … 会長を補佐。うち1名が「代行副会長」として次期会長候補を担います(7名以内)。 • 直前会長 … 会長経験者として運営に助言。 • 会長補佐 … 特定のプロジェクトなどを担当し、会長を支えます。 • 専務理事 … 会務の総責任者。事務局や総務、財務も統括します。 • 常任理事 … 各地区を代表する「地区長」と各委員会を代表する「委員長」。 • 理事 … 各会団を代表する「会団長」と各委員会の副代表の「副委員長」。 • 監事 … 会計や事業を監査し、公正な運営を見守ります(3名以内)。
常任理事の「地区長」と「委員長」について、会則上の正式名称は「地区協議会会長」と「会務担当常任理事」となります。普段の活動では正式名称を使うことは少ないので、当人でさえ意識していないかもしれません。同様に、理事の「会団長」と「副委員長」についても、正式には「会団長理事」と「会務担当理事」と定められています。 常任理事と理事の役割は大きく二つに分けられます。 一つは「連合会としての運営や結束を維持すること」、もう一つは「さまざまな事業を実行すること」です。前者を担うのが地区長と会団長であり、後者を担うのが委員長と副委員長です。地区長や会団長は、全国の地区・会団の声を本会に届けると同時に、理事会で決まったことを会員に伝える“橋渡し役”です。各役職には例えば「関東地区長」「茨城会団長」といった形で、地域名や会団名が冠されます。委員長と副委員長は、委員会を先導して事業を推進する立場です。委員会は毎年10前後設置され、今年度(令和7年度)も以下の通り委員会が設置され活動しています。 ![]() <令和7年度委員会事業>
このように地区ごと、委員会ごとに役職名が付くため、初めは役職が多く感じられるかもしれませんが、活動に関わるうちに自然と慣れていきます。 そして、それぞれの役職についたメンバーは、次の会議体を通じて活動の推進と管理を行います。
執行部会 … 会長、代行副会長、副会長、会長補佐、専務理事で構成。常任理事会や理事会の準備を担います。 常任理事会 … 執行部、地区長、委員長で構成。理事会で扱う議題を検討・処理します。 理事会 … 常任理事、会団長、副委員長で構成。本会の企画運営や重要事項を協議・審議します。 委員会 … 委員長、副委員長、委員で構成。会務系(総務・財務・広報など)と事業系(コンクール事業など)があり、事業を具体的に推進します。 通常総会 … 理事会の議を経て会長が招集し、原則として年1回以上開催します。 臨時総会 … 新年度開始前の3月ごろに開催し、次年度の予算承認や役員選任を行います。
木青連の運営は、執行部が引っ張っていくというだけではなく、役員として出向したメンバー、そして委員会の仲間たちがそれぞれの役割を果たし、互いに支え合って動く仕組みです。全国の若手木材人が一丸となって活動を続けられるのは、このしっかりとした組織体制があるからこそ。木青連の運営体制には、「木の力を未来につなぐ」ための知恵と工夫が詰まっているのです。 |
2025/9/8 22:34 |
委員会活動紹介 第4回 Bundle委員会
![]() ![]() 若者と木材業をつなぐ ― キノシゴトNAVI始動!
日本本木材青壮年団体連合会(日本木青連)令和7年度Bundle委員会委員長の桑原良介(くわばらりょうすけ)です。 ![]() まず「Bundle委員会って何をしているの?」というところからお話ししましょう。当委員会は令和6年度にスタートアップ委員会が実施した起業家育成セミナーBundleの第2弾企画です。令和6年度のBundleでは、木材業界で起業を目指す13人の受講者と一緒に日本木青連メンバーが1年間ともに伴奏し、新規事業の立ち上げを応援をする事業を行いました。次のステップとして、今年度は、委員会の名前もBundle委員会として『Bundle Ver.2』を始動しました。テーマはずばり、木の力=木力(もくりょく)を多くの人に、特に若者に伝えること。そして「木材業を若者がなりたい職業No.1にする!」を合言葉に活動しています。 ![]() その中から今回ご紹介するのが「キノシゴトNAVI」です。 「キノシゴトNAVI」は就活生向けのインターンシップ紹介プログラムです。今回は、より多くの学生に木材産業を体験してもらいたいと願い、会社見学イベント、いわゆるオープンカンパニーを紹介するプログラムとしました。オープンカンパニーは1~2日間の会社見学プログラムで、会社説明会より詳しく、でもインターンシップほど長くない手軽さが学生に人気です。最近は就活でも「タイパ」が大事にされているので、まさにピッタリな企画といえますよね。とはいえ、中小企業にとって人材採用は常に頭を悩ませるテーマ。学生は先進的な環境教育を通して「木材利用が社会や環境に貢献する」と理解してくれているのですが、実際に木材業界のことを知る機会が少なく、就職先の選択肢に入りにくいのが現状です。そこで登場するのが「キノシゴトNAVI」。学生とオープンカンパニーを受け入れたい会員企業をつなぐマッチング事業です。」
今回、学生へのアプローチとして初めてSNS広告にも挑戦します。特に若者がよく目にするショート動画広告に期待しているほか、日本木青連の全国ネットワークを活かして学校にチラシも届けます。このネットワークの力と熱量は本当に心強いものがあります。また受け入れ企業に向けても説明会を開催し、成功事例と具体的なノウハウの共有をしました。これで学生にとっても企業にとっても満足度の高いオープンカンパニーになるはずです。Bundle委員会ではこの活動を「学生よし」「企業よし」「業界よし」の三方よしにするため、さまざまな工夫を重ねています。
『Bundle Ver.2』には他にも「MOKUSEMI」「MOKU idea LAB」といった事業があり、こちらはまた別の機会にご紹介します。私自身、日本木青連で初めて委員長を任され最初は少し不安もありましたが、仲間たちの支えでここまで走ってこられました。日本木青連の魅力は、真剣に業界の未来を考える仲間と出会え、同時に本気で遊べる仲間もできること。そんな唯一無二の場所です。皆さんもぜひこの輪に加わって、共に「木力」を高め合っていきましょう! |
2025/9/8 22:28 |
委員会活動紹介 第3回 JC木材部会
![]() ![]() ![]() 70周年を迎えたJC木材部会 ― 国土交通省との情報交換会再開
こんにちは。日本青年会議所木材部会(以下、JC木材部会)の令和7年度部会長を務めております、若松亮太と申します。
令和7年度JC木材部会事業として、日本木材青壮年団体連合会(以下、日本木青連)との共催による国土交通省との情報交換会を行いました。長年、JC木材部会と日本木青連の共同事業として毎年の恒例でしたが、コロナの蔓延による集会の自粛・3密回避の影響で中止が続き、ここ数年は開催することができておりませんでした。 昨年度、当部会の部会長を務められた守屋光泰直前会長の尽力により、JC木材部会会員のみで事業を再開し、本年は再び日本木青連との共催という以前の形式で開催することができました。長谷川泰治会長をはじめ、日本木青連の皆様、そしてJC木材部会OBの皆様のご支援・ご協力に心より感謝申し上げます。 さて、情報交換会のご報告の前に、手前味噌ながらJC木材部会のご紹介をさせていただきます。 私たちJC木材部会は、日本青年会議所の業種別部会の第1号部会として1956年(昭和31年)に設立され、本年度2025年(令和7年)に70周年を迎えました。日本青年会議所の「修練」「奉仕」「友情」の基本理念のもと、木材業界の発展のために活動してまいりました。世代を超えた会員間の緩やかなつながりがJC木材部会の特徴であり、強みでもあります。しかしながら、JC会員の中でも業種別部会をご存じない方が多くいらっしゃいます。皆様の周りに木材に関わる現役の青年会議所会員の方がいらっしゃれば、ぜひお声掛けいただければ幸いです。
閑話休題。去る7月18日、横浜のナイス株式会社本社ビルにてJC木材部会・日本木青連共催の国土交通省との情報交換会が開催されました。 本年度JC木材部会運営専務を務める梶原治君の軽妙な司会進行のもと、第一部では国土交通省より現在の木造・木質化に対する施策についてご講演いただきました。第二部では、金沢木材協同組合・プレカット金沢の水越栄一郎部長をお迎えし、日本木青連と全木協の災害時連携協定に基づき、能登半島地震において実施された応急仮設住宅建設の事例をご紹介いただきました。ご参加いただいた皆様からも活発な質疑があり、盛会のうちに終了いたしました。 ![]() その後は中華街へ移動し、懇親会場である「萬珍樓」さんにて、相互の会員間で大いに交流を深めました。再スタートを切った国土交通省との情報交換会に華を添える、充実した時間となりました。 ![]() 九州の大先輩、伊藤 将友先輩、多田 啓先輩の勇姿!ご挨拶ありがとう御座いました! ![]() ご多用の折、ご参加いただいた皆様にあらためて感謝申し上げます。 70周年を迎えたJC木材部会。本年度は「つなぐ」というスローガンのもと活動しております。二つの若手木材人の団体が、木の力の可能性を信じ、会員相互に連携することが、より良い木材業界の発展につながると信じております。来年度も、より充実した事業となるよう努めてまいります。このたびは誠にありがとうございました。 ![]() 長谷川会長、楽しく大いに学びのある時間をありがとう御座います。
日本青年会議所 木材部会 令和7年度部会長 若松 亮太 |
2025/9/8 22:23 |
日本木青連ネットワーク紹介 第2回
![]() ![]() 日本木青連の会員企業を「お仕事での連携」を絡めて紹介していくコーナー。 第2回目は広島県よりお届けします。
高知県青年林材協会からのバトンをいただきました広島県西部木材青年協議会(以下、広島県西)でございます。若干愉快なテイストで仲間を紹介してまいります! 吉和の林業は任せとけ!廿日市市にて自社林を中心に素材生産を行っている(有)安田林業の安田真也だ! 安田::廿日市市北部の吉和地区にて事業を行っています。人工林の内、杉が8割、桧が2割を占めるエリアなので杉を中心に素材生産をしています。基本的には間伐にて4m材丸太を生産し、注文があれば5m材や6m材も出荷します。皆伐は毎年小面積だけ。地拵え、植付、下刈りも全て自社で行います。(ちなみに苗作りも行っています) 広島県西部木材青年協議会のOBである小城六右衛門商店さんから注文が入るとお求めの杉の大径木を出荷します。 自社では製材は出来ないので原木を廿日市の製材工場を経由して小城六右衛門商店へ4m5m6mの杉の大径木を出荷します。 ![]() ![]() そして続くのは、広島県西だったらこの人は外せない!広島県西部で木材の集積地「木場」に由来をする地、大竹市「玖波」で材木商を営んでいるのは(株)小城六右衛門商店より大竹の貴公子!小城貴嗣だ! 小城::江戸時代より、中国山地~吉和地区~佐伯地区と緩やかな傾斜を経由して運び出された木材を、古くは木造船や鉄道の枕木などから、現在も構造材・造作材の建築用や土木用へと製材・加工し販売しています。 日本木青連に入会後は同じ志を持った仲間との強い絆を活かして、会員から仕入れ、会員へ販売するといった、まさに仲間同士だからこそ出来る木材のパス交換(バックパス、ワンツー、スルーパス、エンジェルパス、ロングパス、ダイレクトパス・・・・)を繰り返しゴールするというネットワークを展開中。この後は綾君へキラーパス!! 廿日市より炎の宴会部長が登場だ!広島県廿日市市木材港にて木材卸販売をしている㈱名明材木店より綾大輔!! 綾::建築材から土木用材まで国産材、外材を取り扱っております。主な販売先は県内のプレカットメーカー、材木屋になります。 多くの仕入れ先メーカー様の協力で多種多様な商品を短納期での納材をモットーに販売しております。木青連の仲間からも普段からご注文を頂き、また弊社からも丸太、加工材の注文もしています。 ![]() 次回は石川県よりお伝えします! |
2025/9/8 22:15 |
木力NOTE ―木で未来をつくる人たちへ 第6回
![]() ![]() 第6回 日本木青連綱領 半世紀を超えて息づく言葉
こんにちは。日本木材青壮年団体連合会(日本木青連)会長の長谷川泰治です。会長コラム「木力NOTE」第6回では、日本木青連の原点ともいえる日本木青連綱領をご紹介します。この綱領には、私たちが活動を進めるうえでの指針と、歴代の先輩方が脈々と受け継いできた思いが込められています。なお、第5回で取り上げた会歌と同じく、今回の執筆にあたっても“ミスター木青連”こと瓦野光貴君(現・和歌山会団所属)から貴重な歴史やエピソードを教えていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
日本木青連綱領は、活動の方向性と精神を示す大切な拠り所であり、理事会や式典の冒頭では会歌とともに今も唱和されています。先日、ある若手会員からこんな質問を受けました。 「会団の活動において、何を考え、どう行動すべきでしょうか。」 私は迷わずこう答えました。 「綱領を読んでほしい。綱領こそ、我々の活動の指針だから。」 後で聞いたところ、彼は同じ質問を歴代会長にもしていたそうで、返ってきた答えは私と同じだったそうです。誰かに教えられたわけではなくとも、日本木青連での活動を重ねる中で、私自身、何度も綱領に立ち返り、行動や判断の軸としてきました。日本木青連綱領は、それほど私たちにとって確かな力を持っています。 ![]() <各地の理事会、式典で会旗とともに日本木青連綱領が掲げられます>
では、この綱領はどのようにして生まれたのでしょうか。 日本木青連の前身である全国林材青壮年団体連合会(略称:林青連)は、昭和31年(1956年)10月13日、全国から54会団・177名の有志が東京・銀座の紙パルプ会館に集い、創立総会を開催して発足しました。初代運営委員長(第1代会長)は伊藤一郎先輩で、創立時には次のような力強い宣言が掲げられました。 「今日、林材界が当面する課題は、青壮年層においても看過できるものではなく、そのため積極的に対処していく機運が全国各地に盛り上がっております。業界の実務の第一線に立ち、またこれから第一線に立たんとする青壮年層は、この中で全国各団体を網羅し、本連合会を結成いたしました。親睦と交流を通じ相互の啓発を目指して結ばれた全国林材青壮年団体連合会は、未だ加入をみない団体を迎え入れ、発展強化を図り、業界振興の担い手となるべく努力するものであります。」
その後、昭和42年(1967年)に執行部がこの創立宣言に基づき綱領の原案を作成し、昭和43年(1968年)には運営委員会の決定により塚本委員長を中心とした「綱領委員会」が設置されました。4月13日に東京で綱領委員会が開かれ、翌14日の運営委員会で承認、4月22日には榎戸運営委員長の名で各会団に報告され、6月14日の通常総会にて正式に決定されました。こうして「林青連綱領」が樹立されました。ちなみに、第10代榎戸会長までは、会長のことを運営委員長と呼んでいたそうです。
綱領は、会員の意思統一を図り、最大多数の共感と支持を得るために必要とされました。当時は役員に45歳の年齢制限があり、活動できる分野にも制約があったため、「会員企業の繁栄があってこそ林青連の活動は意味を持つ」という考え方が重要視されました。討議では、会員個人と林青連の関係、全木連と林青連の関係、地域業界との関係、林青連はなぜ存在するのか、そして業界の将来と林青連の位置づけといった論点が挙げられ、将来を見据えた組織の理念が形作られていきました。 昭和48年(1973年)に林青連から木青連へと名称変更を経て、今日の日本木青連に受け継がれる綱領は、今も変わらず私たちの活動の根幹にあります。 ![]() これが、日本木青連の綱領です。
この短くも力強い言葉には、世代を超えて共有できる価値観が込められています。交流はただの親睦ではなく、新しい発想と気づきを呼び起こす場です。若い英知と情熱は、机上の理屈を超え、行動に移す力となります。そして木材界の発展は、単に業界の繁栄を意味するのではなく、暮らしや街、そして未来の社会を形づくることに直結しています。
価値観も、技術も、人のつながり方も時代とともに変わっていきます。しかし、私たちが大切にすべき理念は変わりません。綱領は額に飾っておくだけのものではなく、現場で汗を流すとき、仲間と向き合うとき、新たな挑戦に踏み出すとき、その行動の中で生きてこそ意味があります。これからも日本木青連は、この綱領のもとで力を結集し、実行と成果によって木材業界と社会の未来をつくっていきます。
綱領に先立ち昭和41年に作られたのが、日本木青連のロゴマークです。3本の木と木材の「M」、青壮年の「S」、そして連合会の「R」の文字が入ったロゴマークは、会員からデザインを募集し、集まった23点から、名古屋木材青壮年会の安藤友一歴代会長の作品に決定しました。このロゴマークも、現在、会員バッジ、会旗の他、様々な場所で使われています。 ![]() <木青連バッジは今期から木製になりました> |
2025/9/8 21:56 |
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第4回
![]() ![]() リプレイス大作戦その2~外材の代替
・はじめに:国産材自給率アップのポイント 皆さんもご存知の通り、日本の木材自給率は回復傾向にあります。 下記の図のように2023年度の木材自給率は43.0%まで回復しています。 ![]() 出典:令和6年度森林・林業白書
しかしながら、住宅全体の構造材の比率は70%占めているにも関わらず、自給率は9.5%程度といわれています。また、上図の様に最も需要量の多いパルプ・チップ用材の自給率は17.2%しかなく、この2点を国産材にするだけでも大幅な木材自給率向上が期待できます。
また、デザイナーさん達と話していると針葉樹だけでデザインするのは無理とか、つまらないという声もあり、日本の多様な広葉樹活用も重要でしょう。しかし、広葉樹に関しても足物家具(椅子やテーブル)の日本最大級の産地である岐阜県飛騨地方の家具メーカーにヒアリングすると外材利用率が90%以上という企業が多い状態です。よく飛騨の家具にあこがれて就職したものの、実は外材ばかりでがっかりした、という声は若い人から聞きます。飛騨地方あるある、と言われているような状況です。
とても違和感のある杉檜重視林業 ①構造材 構造材に関しては現状、ベイマツの利用が多いと思います。強度が高く安定供給も期待できるからでしょう。昨今の林業、木材企業、行政の動きもあり安定供給の問題は少しずつですが改善されているように思いますが、強度の問題は残ります。建築設計で工夫すれば杉や檜だけでも建物は立てられますし、そういう地域もあります。しかし、デザインを重視したい、とか、安心を担保したい、とか、顧客のニーズは多様ですので、どうしても杉や檜だけでは対応できない場合があるのも確かでしょう。
では、ベイマツやニュージーランドで栽培が盛んなラジアータマツを日本で植林すればいいのではないか?と、思われるでしょうが、昭和時代の植林実験では日本での生育は難しいようです。
そこで、昨今、早生樹としても期待されているのがコウヨウザンです。
気乾比重 曲げ強さ 曲げヤング率 (g/㎤) (kg/㎠) (tf/㎠) 杉 0.38 650 75 檜 0.44 750 90 カラマツ 0.50 800 100 ベイマツ 0.49 800 115 ベイツガ 0.47 710 105 コウヨウザン 0.40 768 103 出典:森林遺伝育種 第6巻(2017) 【特集】 これからの林業とコウヨウザン これからの林業を考える 大貫肇
このようにコウヨウザンはカラマツに近い強度で、しかも伐期30年程度と早生樹として期待できる樹種です。
因みに温帯地域で30年を超えるような伐期を設定している国は無いようです。日本の常識、世界の非常識かもしれません。コウヨウザンが日本で盛んに栽培されれば、ベイマツの購入の為に海外に流れているお金を日本の地方に取り戻すことが可能になります。
②パルプ・チップ用材 木材の中で最も使われているのがパルプ・チップ用材にも関わらず、自給率が低く、この用材の自給率を上げられれば大幅に自給率は改善するでしょう。製紙業界との協力無しには実現しませんが、常態化している貿易収支、サービス収支の赤字、キャッシュフローベースでは経常収支が赤字であるという指摘もあります。今後、何も手を打たなければ円安はどんどん進展し(短期的には米国トランプ大統領の政策に依存しますのでドル安政策をとられると短期的には円高になります)、国民の生活は厳しくなるばかりです。(第三回のコラムに詳述)
海外のパルプ・チップ用材はどんな樹種が多いかといえば、ユーカリとなります。ユーカリは世界で最も植林されている樹種で、合板、製紙用チップ、金属精錬業用(高炉製鉄除く)、化学産業の基礎品の原料(熱分解して、水素と一酸化炭素と二酸化炭素に分解し、メタノールという化学産業基礎品が作られます。また、電動化が困難な大型航空燃料や戦闘機の様な軍事利用航空機のジェット燃料にもなります。こちらも第三回に詳述)などに広く使われています。
ユーカリは早生樹としても極めて優れており、ブラジルでは5年伐期で製鉄用、7年伐期で製紙用として使われているようです。しかも製鉄用のコークスの1/3はユーカリ由来だそうです。
こんなに短伐期であるにも関わらず、しかも気乾密度が0.49~0.81(国産ユーカリ6種の場合(木材学会誌Vol.58 No.6 p339-346 国産早生樹ユーカリ6種の材質特性))とユーカリ樹種によって大きく異なりますが、広葉樹並みの密度があります。
密度が高くて、超短伐期という奇跡の樹種ユーカリですが、日本では何故植林されなかったのでしょうか?もちろん、昭和時代に林野庁や製紙会社が実験を試みましたが、うまく育たない事が多く、また、風倒木もあったとのことでユーカリの植林は見送られてしまいました。
ところが、ユーカリには多くの種類があることが判明し、2020年度時点で確認されている樹種はなんと900種類以上もあるそうです。亜寒帯でも育つユーカリもあり、実は現在、日本中で植林実験が行われています。
福島県の奥山での実験では秋に60cmの苗を植えたところ、冬を越し、たった4ヶ月で3mにもなった事例もあるそうです。また、獣害にも強く、食害を受けた苗は枯れるのが通常ですが、ユーカリは再生したとの報告もあります。
そして、遂に株式会社エコグリーンホールディングスのグループ会社である株式会社 EGForest(本社:千葉県富里市、代表取締役:寺島広高、以下「EGF」とい う。)が提出した「森林経営計画」が、2025年7月17日付で農林水産省大臣より認定されました。
今後、製紙業で活用されれば大幅に木材自給率は高まる事でしょう。また、今後増加すると思われる化学産業の基礎化学品、金属精錬業の加炭材(炭素を金属に混入させて硬くする)、木質バイオマス発電、等に活用されれば、石炭や石油の輸入を増やし、海外の化石燃料輸出国に流れているお金を日本の地方に奪還できることでしょう。
そして、あまり気が付いている人がいないのですが、ユーカリの気乾密度の高さは林業の採算を劇的に上げる可能性があります。
林業は体積に比例した工数がかかります。例えば1㎥の木材をグラップルでトラックに積み込む場合、重量の軽い杉でも、ユーカリでも工数は変わりません。多少重機の燃料は多くなるかもしれませんが、林業は体積依存の業態です。また、製材や合板も基本的には体積依存です。ところが製紙業は木の成分のうち、セルロースが必要ですから木質依存です。また、化学産業と木質バイオマス発電は炭素と水素が必要な元素ですからやはり、木質依存です。金属精錬業は炭素が必要ですから、やはり木質依存です。
したがって、製紙会社が杉なら8,000円/㎥、または、8,000円/トンで買っているなら、気乾密度が2倍のユーカリは16,000円/㎥となります。
このようにユーカリは今後、多くの産業で使われる素材となり、日本の基幹木材になるかもしれません。また、地球温暖化という観点でも極めて優れています。
ユーカリが大気中から二酸化炭素を吸収し、炭素を固定し、木材産業、化学産業、金属精錬業により、木製品、化学品、金属製品に固定化できれば、これら産業が生産すればするほど大気中の二酸化炭素濃度が減少していくのです。
これはカーボンマイナス産業になるということです。日本の木材、化学、金属産業はカーボンマイナスブランドとして、世界に打って出るということも可能になることでしょう。 ![]() それでは風倒木があったというユーカリのデメリットに関してはどうでしょうか?一つは風に強い品種を選択するということでしょう。900種類もあるので風に強いユーカリもあるかもしれません。
また、林業のコンサルティング会社のKOSO社では根が充実する肥料を使って苗木の生産実験を行っています。
これは最近思いついたアイデアですが、農業の世界ではバイオスティミュラント(生物刺激資材)が活用され始めており、林業でも適用可能性を探ってはどうかと思います。
稲作の場合は下記2つを種籾に付着させて田んぼに植えているみたいです。(節水型乾田直播農法、水を田んぼにはらない農法)
根の成長が促進されて、乾燥に強く、高温にも強いそうです。根の成長が促進するなら風倒木が防げるかもしれませんね。
1.マイコス菌(菌根菌): 根を通してリン酸や窒素を植物に供給 2.アサヒビールの関連会社が開発したビール酵母の細胞壁:植物が細菌に感染したと勘違いし、ポジティブな防御反応(一つの反応が根の成長)を示す。
③合板 国産の合板はカラマツが使われていることが多いようですが、再造林が少ない為、十数年後には枯渇するといわれています。こうなると折角上昇してきた木材自給率が低下するかもしれません。これを阻止する為にも今から国産ユーカリ合板の製造方法を確立し、国産ユーカリで合板を製造する準備をしておく必要があります。今からだとユーカリくらい短伐期の物で代用するしかありません。
となると、林業の現場では一番玉を合板用、二番玉を製紙用、それ以外の枝葉も含めて金属、化学、木質バイオマス発電用にするのがよいのではないかと思います。そうすれば、基本的に木材運搬トラックは2m材と山土場でチップ化したチップ材だけ運べればよいので、2mのショートレンジトレーラーと2mショートレンジ箱車トレーラーを開発し、複数連結させて狭くてヘアピンカーブの多い林道や林業専用道を走らせるというアイデアも浮かびます。トレーラーですので空のトレーラーを山土場に置いておき、フォワーダーで直接積み込めば輸送コストも削減できるでしょう。
④広葉樹 広葉樹は主に天然林(人工林以外という意味)から切り出されますが、成長が遅く、なかなか良材が少ないことから広葉樹も人工林のように植林するというアイデアもありますし、実験もされています。例えば、早生樹のセンダン、チャンチン、ユリノキ、などを植えて積極的に活用する事で国産材比率を上げるということもできるでしょう。特にユリノキは比較的柔らかく狂いも少ないので建築、家具、木工製品に使われるようです。また、花が咲き大量の蜜を分泌することから養蜂業での活用も期待できます。
また、広葉樹の価値を上げるという視点も忘れてはいけません。森林所有者の視点だと杉や檜よりも儲からないとチャレンジする意味が無いからです。
第二回のコラムでも少し触れましたが、私が住んでいる飛騨市では「広葉樹のまちづくり」という運動が飛騨市役所を中心に行われおり、直近5年で地元産の広葉樹の製材量が2倍になり休止していた製材所が復活しました。
この中で地元産広葉樹を積極的に活用している例を上げておきます。
(ケース1)田中建築 無垢の家にこだわった建築をされています。その中で木造建築のデザイン性を活かしたい所やワンポイント面白い建築にしたい部分に広葉樹を活用されています。例えば、階段、パソコン用のテーブル、本棚、飾り棚、など施主のこだわりなども聞きながら広葉樹を活用されています。
また、材を余す事無く活用する為に空いた時間で眼鏡フォルダー、コースター、まな板、なども作られており、近くの道の駅でも販売されています。 ![]() 出典:田中建築ホームページ
(ケース2)株式会社 飛騨の森でクマは踊る(通称:ヒダクマ) 家具や木工製品をデザイナーと一緒に制作している会社です。 下記、ヒダクマのホームページに掲載されています。 ![]() このように今まではチップにしかならない小径木がそのままテーブルの脚に使われています。また、二又や三又など製材不能な材も有効活用されています。デザイン×地元の広葉樹で新しい価値を創造しており、顧客には大企業も名を連ねています。
どうしても活用の難しい端材も1,000円/kgで販売しており、トンベースなら1,000,000円になります。余す事無く高い価格で販売するという高付加価値ビジネスになっています。
このように杉、檜に偏った林業から本来必要(海外に流れている外材をリプレイスするという意味での)な樹種を平等に扱った政策、林業が必要ですし、関連産業との連携も必要でしょう。
今後、私が推奨したいのは杉、檜の他にご紹介したコウヨウザン、ユーカリ、早生広葉樹です。
林業政策の転換を! 下記、皆さんもご存知かと思いますが、下記は林野庁の森林計画制度の体系です。 ![]() このような昔の共産主義国家の様なことが今でも日本で行われているのは驚きです。私は初めてこの図を見た時、ゾッとしました。
私はこれを逆転させてはどうかと思います。地域によって特色のある林業や木材産業を各地域で考えてもらい、それを市町村→都道府県→国へととりまとめていくのです。予算はどうしても国→都道府県→市町村になってしまいますが、具体的に何をするのかは権限移譲した方が良いと思います。
林業を自立した産業にするには顧客、マーケットを見てビジネスをするようにすべきですし、できれば補助金に頼らない林業を模索していくべきだと考えます。(具体的には別のコラムで紹介します)
飛騨市で広葉樹のまちづくりが具現化したのも市町村で自由に使える森林環境譲与税があった事と林業、木材産業の各企業経営者が一緒に議論したから、このような新しい取組ができたのです。(田中建築さんは前からやってましたが)
具体的な取組は国で吸い上げ事例共有していけば良いと思います。
それよりも国でやって欲しいのは林業や木材産業の生産性を上げる技術開発や他産業(例えば、本コラムにあるような金属、化学、発電産業)との連携スキームの構築です。
例えば、日本全国に2,500ヶ所の木材コンビナートを作り、コンビナートへあらゆる材を持っていけば自動仕分け、製材、合板、製紙、化学工場がそれぞれの材を受け取り、製材、合板、製紙の木屑や黒液は化学産業で使ってもらえばいいのではないかと思います。
材のカスケード利用、材に含まれる水分のカスケード利用、熱のカスケード利用、などを組み合わせればかなり効率的なコンビナートができるのではないかと考えます。 ![]()
(注意、補足)現状では、日本製鉄やJFEスチールの方とお話ししましたが高炉製鉄はここには含めない方が良いと考えています。
以上、ご関心あれば下記までご連絡下さい。 宮本義昭:メールアドレス:ym00876216@gmail.com
(過去のコラム) 第一回:人手不足対策、地域の空き家問題対策、リフォーム事業拡大 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第1回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・海外人材紹介と定着サービス:フューチャーデザインラボ社のご紹介
第二回:少子化問題と木材産業の成長 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第2回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・中堅中小企業の売上利益拡大を支援:Revitalize社のご紹介
第三回:リプレイス大作戦その1~石炭の代替 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第3回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・林業コンサルティング会社:KOSO社のご紹介
(所属企業、団体) 株式会社バルステクノロジー 代表取締役社長 兼 株式会社KOSO アドバイザー 兼 日本木材青壮年団体連合会 広報委員会アドバイザー 兼 株式会社Revitalize アドバイザー 兼 株式会社Dione アドバイザー 東京科学大学(旧東京工業大学)基金特別会員 プラチナ構想ネットワーク 法人会員 先進EP研究会 会員 Asagiラボ 賛助会員 東海バイオコミュニティ 法人会員 林野庁 森ハブ・プラットフォーム会員 東京丸の内イノベーションプラットフォーム林業分科会 蔵前バイオエネルギー 正会員
(拙著:代表作)
|
2025/8/24 22:50 |
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第3回
![]() ![]() リプレイス大作戦その1~石炭の代替
・はじめに「海外流出マネーを地方に取り戻す!」 私は第一回目のコラムで「地方創生」をやりたい、と書きました。一般的に地方創生といえば、地元の特産品を売り込んでいく、地元の風光明媚は風景、美味しい食材をアピールし、観光業を盛んにしていくといった手法が取られると思います。それはそれで正しい事だとは思いますが、残念ながら日本の飲食、観光業は一人当たりGDPが最も低い産業なのです。こんな事ばかりしていては地方に仕事はできるかもしれませんが、どんどん貧しくなっていってしまいます。(第二回コラムに書いた「年収が少ないと結婚率が少ない」法則によると少子化でいずれ地方は滅亡します)
そこで、私の考える地方創生はズバリ、「海外に流出しているマネーを地方に取り戻す!」ということです。例えば、2022年度の財務統計を細かく見ていって集計したことがあるのですが、①化石燃料とその製品(炭酸ガス、ナフサ、メタノール、LPガス、・・・)代金は年間35兆円!こんな多額なマネーが海外に流出しています。②食料:年間10兆円、③木材と木製品:2.3兆円、つまり、合計で47.3兆円です。
日本政府から地方へ配られる地方交付税は年間18兆円ですから、化石燃料、食料、木材の海外流出マネーを地方に取り返すことができたなら地方交付税の2.6倍ものお金が地方に向かいます。そして、経済波及効果が3.1倍(再生可能エネルギーの場合、林業や木材産業はもっと経済波及効果は大きいと言われています)だとすれば、150兆円近い莫大な金額の地方経済効果がもたらされます。
かつて資源の無い日本は資源を輸入し、付加価値を付けて海外に輸出する事により外貨を獲得(加工貿易といいます)、莫大な貿易黒字を稼いで戦後復興、世界第二位の経済大国になりました。
しかし、それはもう昔の話しとなってしまいました。かつて、世界最長射程の巨大戦艦大和を造れた造船業、日本の稼ぎ頭だったテレビ、ノーベル賞も獲得したリチウムイオン電池、電子立国ニッポンと言われた半導体、日産が世界で初めて量産型電気自動車リーフを市場に投入しましたが、これも現在米国テスラ、中国BYDに遅れを取ってしまいました。しかもリーフは未だに蓄電池起因の電池火災は起こしていないのにこの有様です。燃料電池車もトヨタが世界初の量産型燃料電池車ミライを発売しましたが、現在は韓国の現代に出荷台数で負けています。
多くの基幹産業において日本企業の優位性は消滅してしまいました。これにより日本の貿易収支は赤字が常態化、金融やITで出遅れた日本はサービス収支も赤字が常態化、経常収支は黒字ですが、稼いだ外貨は再投資されてしまう為、日本にマネーは還流せず、みずほ銀行の唐鎌大輔氏はキャッシュフローベースの経常収支は赤字ではないか、と指摘されています。今後日本は何で外貨を稼げば良いのでしょうか?もはや日本の加工貿易ビジネスモデルは世界に通用しなくなってしまいました。
また、米国ではトランプ政権が誕生し、貿易収支で稼がせてもらう事もかなりやりにくくなってしまいました。日本は加工貿易に代わるビジネスモデルを再構築する必要があります。それが私の提唱している「海外流出マネーを地方に取り戻す」ビジネスモデルです。
こういうのが構造改革だと思うのですが、失われた35年でこうした案は聞いたことがありません。米国は関税で強権的に貿易収支改善に動いていますが、日本は技術、知恵、協力体制でこれら海外流出マネーを地方に取り戻していきたいですね。
47.3兆円もの輸入資材を国内資源で代替(リプレイス)するという壮大な構想ですので今回からは何回かに分けてご説明していきます。私はこれを「リプレイス大作戦」と呼んでおり今後多くの企業様と取り組めるよう頑張りたいと思っています。リプレイス大作戦のその1は「石炭の代替」です。多くの環境団体からも指摘があるように極めて温室効果が高く地球温暖化という観点からも石炭代替は求められていることです。
・石炭は何に使われているのか? 日本の部門別の二酸化炭素排出量はどうなっているのか見てみましょう。 ![]() 最も多いのがエネルギー転換部門です。エネルギー転換部門とは発電事業、製油事業などが含まれます。発電事業の中で最も二酸化炭素排出量が多いのが「石炭火力発電」です。
次に多いのが産業部門です。産業部門で二酸化炭素排出量が多いのが鉄鋼業です。 ![]() 特に石炭を大量に使用する高炉製鉄業が最も多くなっています。
他に石炭を使う産業は、高炉製鉄以外の金属精錬事業。これは金属を硬くするために石炭コークスを混入させます。スクラップ鉄を原料にした電気炉製鉄、鋳物工場、その他非鉄金属産業で使われます。高炉製鉄以外では一部、木材や非可食植物由来のバイオコークス、廃プラスチックのような有機廃棄物が利用され始めています。
石炭火力に関しては発電や電力システムという観点で別途ご説明したいと思います。そこで詳述しますが、石炭火力は日本国内資源(再生可能エネルギーと蓄電システム)だけでリプレイス可能とだけ今回は記述しておきます。
・高炉製鉄=産業界最大の二酸化炭素排出産業 高炉製鉄とは高炉という炉内に投入した鉄鋼石(酸化鉄)を石炭の燃焼熱で高温にして、石炭コークス(石炭を蒸し焼きにして炭素重度を上げた石炭)で還元し、石炭コークスの一部を製品(鉄鋼製品)に溶け込ませることで鉄鋼製品を作る産業です。鉄鋼とは鉄と炭素の合金の様なものなのです。
高炉ではこのように石炭コークスが「昇温」(温度を上げて鉄を溶かすこと)、「還元」(鉄鉱石(酸化鉄)から酸素を奪う事)、「加炭」(溶鉄に炭素を添加すること)の3つの機能を持っていることに注意して下さい。
高炉製鉄の問題は昇温、還元、加炭全てにおいて石炭に依存している為、大量に石炭を使う事になっていることだと思います。
製鉄には200年程前までは木炭が使われていました。その技術の起源は紀元前17世紀、現在のトルコのアナトリア地方に存在していたヒッタイトで発明されました。大量に木材を消費し、次々と森林を破壊し、約2000年かけて日本に伝わりました。このヒッタイトから日本に伝わった経路はアイアンロードと言われています。シルクロードよりも歴史は古く、アイアンロード沿いの中央アジア諸国では未だに森林は回復せず不毛な地域になってしまいました。大面積の森林を壊滅させる、それくらい製鉄には多大なエネルギー、資源が必要なのです。 ![]() 話しは脱線しますが、私の住む岐阜県飛騨地方には古事記や日本書紀と内容が若干違いますが詳しい口述伝承神話があります。その中には鉄が日本に伝わった話もあります。
古事記ではヤマタノオロチ伝説で有名ですが、飛騨地方の伝承はもっと現実的です。
「大陸からオロチョン族という民族が出雲地域に進出し、鉄を取って、武器を作り、乱暴狼藉を働いていたので当時の飛騨国王だったイザナギノミコト(妻のイザナミノミコトは出雲出身だった)に援助要請が来て、息子のスサノオを派遣した。そのスサノオはオロチョン族に酒を飲ませて寝ている時を襲い、製鉄技術と草薙剣を得た。」とあります。
真偽はともかく日本の天皇家が製鉄技術を得て、他の日本国内の国王から頭一つ抜き出たのは他の古代史研究でも確かなようです。おそらく三種の神器にもなっている草薙剣は製鉄技術という権力の象徴だったのでしょう。
飛騨高山の町中にはスサノオの義理の父であるアシナガ、義理の母であるテナガの像が鍛冶橋という製鉄業に関係の深そうな名前の橋に建立されています。 ![]() 岐阜県高山市の鍛冶橋にあるアシナガの像
高炉製鉄へのバイオコークスの適用を研究されている産総研の鷹嘴先生にお話しを伺いました。現時点ではバイオコークスを高炉製鉄で使う事はできないとのことでした。高炉の中には層状に5cm程度の大きさの石炭コークスと鉄鉱石をミルフィーユの様に積み上げて着火します。石炭コークスは高温になっても型崩れせず適度な隙間がある状態を維持します。この隙間から発生したガスが上に抜け、融けた鉄が下に落ち、高炉製鉄が行われます。バイオコークスにはこの「硬さ」が不足しているそうです。隙間が粉々になったバイオコークスで塞がれてしまったら、高炉が内部閉塞を起こし、高炉が停止してしまうそうです。
現在、産総研や複数の大学で「硬い」バイオコークスの研究や開発は行われているもののまだまだ実現は先になりそうですし、現在の案を聞いていると経済的に成立しないのではないかと思います。また量も膨大で現在の木材生産量を3倍にしないと間に合わないので私の考えでは実現は難しい、もしくは、高炉を大幅に削減し、少ない高炉だけに適用するということしかないかな?と思っています。
むしろ、高炉製鉄は高炉ではなく、還元と加炭は水素と二酸化炭素で行い、昇温は電気で行う方式が良いと思いました。この予備還元&加炭電気炉製鉄は元川崎重工理事で1980年代から水素還元製鉄の特許を複数出されている堤水素研究所の堤香津雄さんという方が提案されています。
水素は電気による水電解で得ます。電気は電力卸市場価格が0.01円/kWhと最低価格の時間帯が太陽光発電の普及により多くなってきていますので、この時間帯の安価な電力を使えば良いでしょう。二酸化炭素は高炉の後工程の転炉工程(二次製錬)で副製品として得られます。転炉工程では不純物を除去する為に消石灰が必要なのですが、消石灰は石灰石を蒸し焼きにして作ります。この時大量に二酸化炭素が出ますのでこれを使えば良いと考えます。
したがって、高炉製鉄における石炭代替は日本で自給された再エネ電気と石灰石(日本で自給可能)で代替すればよいと考えます。再エネ電気の自給は別のコラムでご説明します。
・残る石炭代替 石炭火力も高炉製鉄も日本国内で自給できる再エネ電気と石灰石、石灰石を蒸し焼きにする時に発生する二酸化炭素で代替できるなら、それで話しは終わり、ということにはなりません。(確かに大玉ですが)。スクラップ鉄、鋳物工場、非鉄金属製錬工場、では加炭材として、その他産業用途としては例えば農業の土壌改良剤で炭は必要です。
一部で既にバイオ炭、バイオコークスが使用されていますが、コストの問題で大きく普及していません。その理由は歩留りの悪さです。
二酸化炭素も水蒸気も酸素も存在していない理想の状態で1000℃以上に加熱すると木質バイオマスは下記の様に熱分解します。 C₁₃₈H₂₀₀O₈₀(木質バイオマス)→58C+80CO+100H₂ つまり炭素と一酸化炭素と水素に分解します。
ここで歩留りを計算してみましょう。炭を作る人、企業、業界の人の多くは発生するガスを燃やして捨ててしまっています。 (炭素:58×12)/(木質バイオマス:138×12+200+16×80)=696/3136=22%
実際には酸素や水蒸気、二酸化炭素があるのでもう少し炭素は少なくなります。下記反応の為です。 ・水蒸気改質反応:C+H₂O→H₂+CO ・二酸化炭素改質反応:C+CO₂→2CO ・単なる酸化:C+O₂→CO₂ したがって理想通り22%も歩留りがあるかといえば、上記の反応がありますから、そうはなりません。歩留りが2割程度以下では採算を取るのは難しいでしょう。
一方で、木質バイオマスの熱分解ガスである水素と一酸化炭素が必要なのが化学産業です。
一酸化炭素と水素の合成ガスはシンガスと呼ばれていて、昔は都市ガスに使われていました。現在の60歳以上の人はテレビのニュースで「一酸化炭素中毒で人が亡くなった。」とよく子供の頃聞いたことがあると思います。昔は国内で自給できていた石炭を水蒸気改質反応で水素と一酸化炭素を作り出し都市ガスにしていたのです。今の都市ガスは天然ガス(LNG:液化天然ガスで全量輸入)で主たる物質はメタンですので安全です。
また、このシンガスが凄いのは合成すると原油ができます。これはFT合成という化学反応で、戦前はABCD包囲網で日本は原油の輸入ができませんでしたから、人造石油と言って日本国内で売られていました。
つまり、炭が必要な金属産業とシンガスが必要な化学産業が協力すれば歩留り100%で炭と一酸化炭素と水素が得られるのです。また、昨今は一酸化炭素と水素から原油ではなく直接ジェット燃料やメタノールなどの化学基礎品を直接作ってしまう触媒が開発されています。こうすれば木質バイオマスから炭、SAF(持続可能な航空燃料、高値で相対取引されている)、メタノール(現在日本国内自給率は0%、年間900億円の輸入額)が生成できます。
また、三菱ガス化学という会社は現在原油から精製されるナフサ由来のマテリアル系化学産業をメタノール起点のマテリアル系化学産業に転換しましょうという構想を発表されています。(マテリアル系化学産業とは樹脂、合成ゴム、薬品、塗料、など燃料以外の化学産業、対して燃料系化学産業はLPガス、都市ガス、灯油、ガソリン、ジェット燃料、経由、重油、など燃料)
下記、MGC(三菱ガス化学)の環境循環型メタノール構想。 ![]()
世界の製鉄産業の市場規模は350兆円、化学産業の市場規模は400兆円もあります。日本の新しい技術で市場シェアを取れるといいですね。
・石炭代替→金属加炭材代替、農業土壌改良炭、ナフサ代替、ジェット燃料代替 今回のリプレイス大作戦その1は石炭代替で検討してきましたが、大物の石炭火力と高炉製鉄が電気と二酸化炭素で代替できてしまうことから、石炭代替というよりは下記代替で考えた方が良いでしょう。 ① 金属加炭材代替(金属を硬くする石炭コークスをバイオコークスで代替) ② 農業土壌改良炭(農業の土壌改良にバイオ炭を積極的に使っていく) ③ ナフサ代替(マテリアル系化学工業の起点であるナフサを木質バイオマス由来メタノールで代替) ④ ジェット燃料代替(原油から生成されるジェット燃料を木質バイオマス由来の一酸化炭素と水素から特殊触媒(富山大学椿教授)のFT合成により、SAFを合成する)
いずれにしても大半の石炭は木質バイオマス、再エネ電気、二酸化炭素、日本国内で調達可能な資源で代替できてしまいます。
重要なことは木質バイオマスを歩留り100%で使うということです。炭だけ取って後は燃やしてしまう、とか、ガスだけ取って炭は捨ててしまう、では採算を取ることは難しいでしょう。
実は木質バイオマスガス化発電は後者です。高山市のしぶきの湯という温浴施設にある木質バイオマスガス化発電コージェネレーションシステム(ドイツのブルクハルト社製)の焼却灰の80%は炭で、現在は捨てているのです。私の住んでいる飛騨市最大の企業の神岡鉱業(三井金属100%子会社)調べです。現在の木質バイオマス発電は問題が多いのでこれも別途当コラムで取り上げます。
・木青連の皆様へ バイオ炭やバイオコークスの製造、活用、など木材業に関わる人はおそらく一度は考えたことがあるのではないでしょうか?そして、事業化された方もいらっしゃると思います。しかし、現時点で大きく普及していない原因はコストの壁がなかなか崩せないということだと思います。私の提案(炭とSAFとメタノール製造を同時に行う)もコストの壁を崩していないかもしれませんが少しは近づいていると思います。しかしながら単独でやっていくのはまだまだ難しい分野ではあります。多くの木材関連企業が連携し、既存の大企業や行政を巻き込まないと大規模な社会実装は困難だと感じていますが不可能ではありません。
炭素税の導入による化石燃料由来炭素価格の上昇や円安による石炭価格上昇により、コスト差が無くなるかもしれません。また、こうした分野に三菱ガス化学、ENEOSのような大企業が参入してくれば、大幅に木材需要が増加します。そして、海外に流出している石炭購入マネーを地方に取り戻すことができるのです。(2022年度の石炭輸入額は8.4兆円)
こうした世界になる為に木材産業がやっておくことはたくさんあります。 例えば、上流から考慮すれば、 ① 森林所有権の集約化(施業や経営権の集約では不十分だと思います) ② 低コスト造林の推進(ノーコスト造林をめざすべきと考えます) ③ 素材生産性の向上(オーストリアやニュージーランド林業に追い付きたい) ④ 木材、食料、エネルギー自給率向上観点でふさわしい樹種の植栽 ⑤ 木材産業のコンビナート化、木材の大量かつ安定供給体制構築 など、たくさんあります。個々のテーマに関してはまたコラムで順次、詳細説明したいと思います。
また、炭や化学産業の原料になる様な低質材を安定供給する為にも建物に使うような製材品や合板などの生産も増やしておく必要があります。その為には「全ての建築物を木造にしよう」というような運動も必要でしょう。鉄鋼品とのハイブリッド木材も含めれば、全ての建物を木造にすることは技術的にも法律的にも可能となってきています。
こうした未来の林業を視野に入れた新しい林業のコンサルティング会社が2025年7月に誕生しました。株式会社KOSOです。私もアドバイザーで参画しています。木材産業界で有名な方で、早生樹、エリートツリー、補助金に頼らない林業を提唱されている元林野庁の大貫肇さんも経営者として参画しています。
以上、ご関心あれば下記までご連絡下さい。 宮本義昭:メールアドレス:ym00876216@gmail.com
(過去のコラム) 第一回:人手不足対策、地域の空き家問題対策、リフォーム事業拡大 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第1回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・海外人材紹介と定着サービス:フューチャーデザインラボ社のご紹介
第二回:少子化問題と木材産業の成長 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第2回 - 日本木材青壮年団体連合会 ・中堅中小企業の売上利益拡大を支援:Revitalize社のご紹介
(所属企業、団体) 株式会社バルステクノロジー 代表取締役社長 兼 株式会社KOSO アドバイザー 兼 日本木材青壮年団体連合会 広報委員会アドバイザー 兼 株式会社Revitalize アドバイザー 兼 株式会社Dione アドバイザー 東京科学大学(旧東京工業大学)基金特別会員 プラチナ構想ネットワーク 法人会員 先進EP研究会 会員 Asagiラボ 賛助会員 東海バイオコミュニティ 法人会員 林野庁 森ハブ・プラットフォーム会員 東京丸の内イノベーションプラットフォーム林業分科会 蔵前バイオエネルギー 正会員
(拙著:代表作) |
2025/8/24 22:44 |
活動紹介 令和7年6月26日 日本木青連・4Hクラブ親睦会開催報告
![]() ![]() お世話になります。専務理事の杉山です。静岡会団から出向しております。どうぞよろしくお願いします。
令和7年6月26日、日本木材青壮年団体連合会(日本木青連)と全国農業青年クラブ連絡協議会(4Hクラブ)による親睦会が、東京・神田明神の鰻料理店「喜川」にて開催されました。 この親睦会は、他団体との連携をテーマに掲げた令和5年度・島田会長の時代から始まった取り組みであり、これまでは少人数での開催が続いてきました。今回はその流れを受け継ぎつつ、さらに一歩踏み込んで両団体の役員同士の交流を深めることを目的とし、参加の幅を広げて開催されました。当日は、日本木青連・4Hクラブからそれぞれ7名、さらに業界誌記者2名を加えた合計16名が参加し、にぎやかで活気に満ちた親睦の場となりました。 開会にあたり、乾杯のご発声を務めた長谷川会長は、 「農業も木材業も、自然素材を扱うという共通点があります。オーナー企業や家族経営が多い産業構造もよく似ています。つまり、私たちは同じような悩みや課題を抱えている仲間だと思うのです。さらに、主管省庁はどちらも農林水産省。そして、大臣は私たちと同世代の小泉大臣。これはもう、一緒に小泉大臣にご挨拶に行くしかありませんね!」 と、両業界に共通する特徴や背景をわかりやすく述べました。もともと接点の少なかった業界同士ということもあり、会の冒頭はやや緊張した空気が漂っていましたが、同じ一次産業を支える仲間として、和やかで前向きなムードの中、会は始まりました。 印象的だったのは、会の雰囲気の明るさと参加者同士の盛り上がりです。世代も近く、経営者としての共通点も多い両団体のメンバーは、初対面とは思えないほど打ち解け合い、趣味や地元での取り組み、経営上の工夫や課題に至るまで、実に多岐にわたる話題で大いに盛り上がりました。終始、笑い声と前向きな意見が飛び交い、場の一体感は非常に高まりました。 ここで4Hクラブについて簡単に紹介させていただきます。4Hクラブ(農業青年クラブ)は、20〜30代の若手農業者が中心となり、技術研鑽や経営改善、販路開拓などを目的に、地域密着型のプロジェクト活動を行っている全国組織です。現在、全国に約670のクラブがあり、約1万人の会員が在籍しています。地域活動や他団体との連携にも積極的で、農業界における若手ネットワークの中核を担う存在です。
今回の交流は参加者にとって大きな刺激になったといえます。ある4Hクラブ会員は日本木青連会員の特色ある事業活動に強い関心を示し、その場で会社訪問の約束を取り付けておりました。また、もっと木青連の会員と交流を深めたいと嬉しい声もいただきました。林業・木材業と農業という異なる業界でありながらも、自然素材を扱うという共通点を持つ両者が情報を共有し、互いの考え方や課題に触れ合うことで、新たな発見と刺激が多く得られた貴重な機会となりました。
今回の交流から、業界を超えた連携によって相乗効果を生み出す可能性が大いに感じられました。商品開発や地域活性化、持続可能な社会づくりといった未来志向の取り組みにおいて、今回のようなつながりが具体的な成果へとつながることが期待されます。
今後もこのような親睦会を継続的に開催することで、業界の垣根を越えた協働の輪が形成されること楽しみでなりません。互いの想いを交わし、業界の未来を語り合うこうした場が、木青連と4Hクラブ双方の活動をより力強いものにしていくと期待に胸を膨らませる会となりました。そしてひょっとしたら、両者の連携によって国や社会をも動かすような力が生まれるかもしれない。そんな可能性すら感じさせる希望に満ちた一夜となりました。
全国農業青年クラブ連絡協議会 |
2025/8/24 22:37 |
活動紹介 令和7年7月11日 公益財団法人住宅・木材技術センターとの意見交換会
![]() ![]() 令和7年7月11日、公益財団法人住宅・木材技術センター(以下「住木センター」)にて意見交換会開催しました。今回は同センター理事長であり、木青連の顧問でもある宮澤理事長のご厚意により実現したもので、オフレコの座談会ということもあり、参加者が気軽に発言できる雰囲気の中で進行されました。 冒頭では住木センターの成り立ちや沿革について紹介があり、同センターが果たしてきた役割や事業内容について理解を深める時間となりました。続いて宮澤理事長からは、現在の木材業界を取り巻く課題に関する率直な思いが語られ、「この業界を、真にお金の残る産業にしたい」という熱意が随所ににじんでいました。
また、法制度に関する話題として、クリーンウッド法や4号特例縮小についても触れられ、その概要や今後の展望についての説明をされました。会員たちからの多岐にわたる質問にも、理事長は一つひとつ丁寧に、かつ気さくに応じられ、まさに現場感覚と行政の橋渡しを実感する時間となりました。
見学の時間には、同センターが保有する構造・耐火試験場や銘木館を訪問。普段なかなか目にする機会のない試験施設を目の当たりにし、木材に携わる者として改めて素材の可能性や安全性への責任を実感する機会となりました。
特に銘木館では、数々の貴重な木材が展示されており、訪れた会員たちはそのスケールと歴史に圧倒されました。中には、大人の男性の身長をゆうに超える原木や、歴史上の人物が植樹したとされる板、古代のスギの根株など、木の力強さと奥深さを感じる展示が並んでいました。 銘木館の多くの所蔵品は、木青連会長・長谷川泰治氏の曽祖父にあたる長谷川萬治翁が全国から収集したものであることも紹介され、木材にかける情熱が代々受け継がれていることに一同深く感銘を受けました。 最後に、宮澤理事長より「長者番付日本一となったことのある萬治翁の銅像の靴を撫でると金運や商売運が上がる」というユーモア交じりの案内があり、なんと何人かの会員は真剣な面持ちで靴を撫で、商売運や金運をあやかっていました。その姿を横目に、結局は私も少しだけ靴を撫でてしまったことをここに記しておきます。 今回の訪問は、知見の深化のみならず、木材業界を志す若い世代にとって、大いなる刺激と学びを与える貴重な機会となりました。
公益財団法人 住宅・木材技術センター |
2025/8/24 22:21 |
大会活動紹介 第1回 東海地区大会
![]() ![]() 令和7年度 第49回東海地区協議会会員大会レポート
皆さま、こんにちは! 令和7年7月26日、三重県松阪市の華王殿にて、「日本木材青壮年団体連合会 東海地区協議会 第49回会員大会」が盛大に開催されました。令和7年度としては全国で最初の地区大会となり、注目度の高い開催となりました。 今年の大会テーマは「とにかく楽しい東海地区」 東海三県(愛知・岐阜・三重)の若手木材人たちが一堂に集まり、学びと交流、そして笑顔あふれる時間が流れました。 式典は午後3時30分に開会。冒頭、東海地区協議会地区長である三重県松阪地区青和会の川口大輔君が、「楽しいって色々あるけど、最も単純に、今楽しいを追い求めていただくことが、活動をより活性化させる!」と熱い挨拶を送り、令和7年度のスタートを盛り上げました。 続いて登壇したのは、日本木青連・長谷川泰治会長。令和7年度の活動について委員会報告があり、「来年度中に会員数1,000名を目指す」という力強い目標が示されました。参加者一同、全国の仲間たちとともにその実現に向けて歩む決意を新たにしました。 基調講演には、松阪市の「接骨院りゅうぼう」院長・中尾隆一様をお招きし、「いつまでもあると思うな、強い体!!」をテーマにご講演いただきました。現場で働く私たちにとって身近で切実なテーマなだけに、健康意識を見つめ直す貴重な時間となりました。 そして夜は、待ちに待った懇親会。華王殿自慢の料理がずらりと並び、参加者たちは舌鼓を打ちながら交流を深めました。メインイベントはなんと「松阪牛争奪・腕相撲対決」!愛知・岐阜・三重、日本木青連から1名ずつ選ばれた代表たちが、豪華な景品をかけて熱戦を繰り広げ、会場は大盛り上がりとなりました。 ![]() さらに、全員参加の「大じゃんけん大会」も開催され、こちらでも松阪牛が賞品としてかけられており、誰もが本気で勝負に挑む場面が続出!終始、笑顔と拍手が絶えない楽しい夜となりました。 締めの挨拶は、令和8年度の日本木青連会長予定者・田口房国君。 未来への期待を語ったあと、「やっぱり東海は楽しいですね!」と笑顔で話し、最後は東海地区の“公式?”テーマソングを全員で肩を組んで大合唱!感動と一体感に包まれながら、大会は最高のかたちで幕を閉じました。 なお、今回の会場では、これまでの金属製に代わる新しい「木製の木青連バッチ」が初めて販売されました。木の温かみが感じられる自然な風合いと洗練されたデザインで、参加者の注目を集めました。価格は1個1,300円。 胸に付けるたび、木に携わる誇りと仲間とのつながりを思い出させてくれる、新たなシンボルアイテムとなりそうです。 ![]() |
2025/8/24 22:13 |
木力NOTE ―木で未来をつくる人たちへ 第5回
![]() ![]() 第5回 日本木青連の心を歌う ― 会歌の誕生とその想い
こんにちは。日本木材青壮年団体連合会(日本木青連)会長の長谷川泰治です。 会長コラム「木力NOTE」の第5回です。今回は、日本木青連の“心”ともいえる「会歌」についてご紹介します。
日本木青連の会歌が誕生したのは昭和53年度(1978年度)、当時の片境啓一会長(第19代/富山)の発案によるものでした。企画担当常任理事・三箇優氏のもと、会旗や綱領と並ぶ団体の象徴として「会歌」および「木材音頭」が制作され、昭和54年5月19日に石川県で開催された第24回全国会員金沢大会にて発表されました。 ![]() <当時のレコードがまだ残っていました。レトロ感たっぷりです>
制作当時の三箇委員長は、大会記念誌で次のように述べています。 「片境会長より、木青連には会旗・綱領は制定されているが会歌がないので、企画委員会にてぜひ検討してほしいとの要望があり、委員会において重点事業と決定し、実現に鋭意努力してまいりました。日本木青連も今や全国組織となり、日夜木材並びに関連産業の発展にいそしんでおり、会歌の制定をみるに至ったことは、対外的にも心強いものがあると言えます。会歌の完成までにはタカエージェンシーの高塚氏に多大なご協力を賜り、ここに感謝の意を表します。願わくば、大会などの諸行事の都度、歌われることを祈念いたします。」
日本木青連会歌の歌唱を担当したのは、1958年に早稲田大学グリークラブ出身の4人で結成された、日本を代表する男性コーラスグループ「ボニージャックス」です。彼らは60年以上、日本のコーラス界を代表する存在として活躍していました。 NHK「みんなのうた」には約100曲以上が起用され、童謡・愛唱歌・フォークソングを中心に、レコーディング楽曲数は3,000曲以上。これは日本の音楽グループとして屈指の記録です。また、文部科学大臣賞や日本童謡賞特別賞など数々の栄誉を受け、その功績は音楽業界だけでなく教育・文化分野にも大きく貢献してきました。長年、全国の学校や地域イベントなどでも歌声を届け、日本の歌文化の普及と継承に力を注いできたグループです。日本木青連の会歌でも、温もりある声質と豊かなハーモニーが存分に活かされ、力強さのなかに優しさと誇りを感じさせる仕上がりとなっています。
作曲・編曲を手がけた山路進一氏は、放送音楽や社歌・校歌の分野で活躍した作曲家で、重厚な和声感と旋律の美しさに定評があります。日本木青連の理念、そして未来への誓いを音楽で見事に表現しました。また、高塚悦郎氏は、当時タカエージェンシーに在籍し、広告や音楽制作に携わるプロデューサーとして数々の文化事業を手がけ、日本木青連会歌の制作においても企画構成や歌詞協力など幅広く尽力しました。 以下が、その会歌の歌詞です。 ![]() 日本木青連 会歌 作詞:企画委員会(協力・高塚悦郎)/作・編曲:山路進一/コーラス:ボニージャックス
日本木青連の会歌は、3番までありますが、それぞれ、「心意気」「理想」「使命」という三つの柱が表されています。まず「心意気」では、木を生活を支える基盤として大切にし、その価値を社会や未来へ広げていこうとする姿勢が歌われています。次に「理想」では、全国の仲間たちが互いに学び、協力し合いながら、木の文化を受け継ぎ発展させていくことが示されています。最後に「使命」では、若い世代が、知恵と情熱をもって次の社会を築いていく責任がうたわれています。このように会歌は、木材に関わる者としての誇り、仲間との連帯、そして未来への責任が三つに分けて力強く表現されています。
日本木青連の活動理念が詰まったこの会歌は、会旗や綱領と並ぶ精神的支柱といえる存在です。三箇委員長の願いどおり、現在も理事会や大会式典の冒頭ではこの会歌が歌われています。その旋律や音源には昭和の時代を感じさせる部分もありますが、それもまた歴史の一部として味わい深いものです。今後、時代に合わせて表現の見直しが求められることがあるかもしれませんが、歌詞に込められた理念や魂は、これからも大切に受け継がれていくべきものだと感じています。
木青連会歌の音源はこちらになります。 |
2025/8/12 2:01 |
【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第2回
![]() ![]() 少子化問題と木材産業の成長
・はじめに 前回、人手不足問題に触れました。何故、人手不足になるかといえば、急速に労働人口が減少しているからでした。労働人口が減少している原因は少子化です。 ![]() 上記は前回と同じグラフですが、1955年に3012万人だった14歳以下人口が2025年(推計)で1324万人と57%も減っています。人口の数に注目すればこの70年間に東京都よりも多くの若年人口が消滅したことになります。(1688万人>東京都の2025年推計の人口は1426万人)
昔は兄弟が多く一組当たりの子供の数が非常に多かった時代がありました。しかし、これは戦中戦後の特殊な時期であり、その後の夫婦間の子供の数はそんなに減っていないことが下記のグラフからわかります。 ![]() ![]() 出典:Revitalize社調査レポート:少子化の抜本策は中小企業の売上拡大である_2025年1月版.pdf
1970年の103万組→50万組(2022年)と半分以下になっています。
婚姻数を増やす方法は無いのでしょうか? 実は非常に興味深いグラフがあります。それが下記です。 ![]() このグラフの様に年収によって大きく婚姻率が変わることがわかります。しかも、年収と婚姻率の関係は正比例に近い状況で相関性が極めて高いのです。 今の20代前半の若い世代に実際に聞いてみても「給与が安くて、とても『娘さんをください』とは言えない。」とか、「結婚式や披露宴の費用、住居の準備、家財道具の購入、など、とても払えないので結婚できない。」という答えがかえってきます。
つまり、これだけ年収と婚姻率の相関性が高いと従業員の年収を引き上げない限り少子化問題は解決しない、と言ってもいいのかもしれません。
日本政府が1994年に初めて少子化問題に乗り出してから30年以上経ち、その間に支出された少子化問題対策費は「累計でナント66兆円!」を超えてしまいます。これ程の国家予算を投入しても効果が見られないのは原因と解決策が合っていなかったともいえるでしょう。 ![]()
・少子化対策=中堅中小企業の従業員の年収アップ? 少子化対策の為に中堅中小企業の経営者の皆さん、従業員の給与を上げて下さい、ということは簡単ですが、単純にそんなことをすれば会社の継続が困難になってしまいます。 こうした問題に対して昨年からRevitalizeという企業が立ち上がりました。私もアドバイザー、ビジネスプロデューサー、として参画しています。この企業は「中堅中小企業の売上や利益を増やす事」をミッションとしています。 間接的ではありますが、支援した企業の売上や利益が増え、その企業の従業員の年収が上がり、婚姻率が向上し、少子化問題を解決したいというのがRevitalize社の願いです。
・Revitalize社 この企業はマッキンゼー、デロイトトーマツ、などの大手コンサル企業や私が所属していたリクルートグループメンバー中心に設立された企業ですが、役員社員は5名程しかおらず、中堅中小企業支援ができる人材をネットワーク化しているネットワーク型組織を採用しています。 中堅中小企業支援できる人材を「ビジネスプロデューサー」と命名しており、現在、130名程のビジネスプロデューサーネットワークができています。そして、将来的には全世界で1万名のネットワークを構築することを一旦の目標としています。 様々なスキルを保有するビジネスプロデューサーが企業様の案件に応じて適材をプロジェクト編成し、支援させて頂くという形態を取っています。 例えば、下記の様なスキルに対応したビジネスプロデューサーがいます。 ① 人材育成 ② 組織活性 ③ 人材採用(新卒採用、海外人材採用):第一回目にご紹介したフューチャーデザインラボ社の創業会長が一例です。 ④ 販路開拓(国内、海外): 3000人の海外バイヤーと繋がっている海外販路開拓スペシャリストが実際にいます。 ⑤ DX、AI導入支援 ⑥ 資金調達支援 ⑦ M&A支援 ⑧ 新規事業、新商品開発支援 ⑨ ・・・
・木材産業の成長(売上や利益拡大)とRevitalize社 私自身は木材産業(林業)へ身を投じてから12年になりますが、古い産業だからなかなか事業を成長させるのは難しいと思っていました。 しかし、2018年から林業から地方創生に軸足を移し、様々な地方企業を調査し、Revitalize社で様々なビジネスプロデューサーと話してみると意外にも急成長している木材産業企業があることに気が付きました。
(ケース1)例えば、木青連の会員でもあり、私が2021~23年度に林野庁の有識者委員でご一緒させて頂いていた岩手県の柴田産業様はオーストリア林業並の高い素材生産の生産性を出されています。
オーストリアやニュージーランドは日本の様に急峻な山で林業をしていますが、ニュージーランドの場合、年収1000万円以上の林業者はたくさんいるようです。生産性を調べてみると2020年の数字ではありますが、日本の生産性の6.2倍です。(生産性=年間素材生産量/林業従事者)。(これについては別回のコラムで詳述します) また以前スイスフォレスターの方にお聞きしたところ、スイスの林業者の平均年収は1200万円だそうです。例えば、あるスイスの林業者は3人でハーベスターとフォワーダを購入し、24時間3交代で皆伐しているそうです。
様々な国との比較を行い何が違うのか抽出し、違いを埋める事ができないのか検討すれば生産性向上=利益アップ=従業員の年収アップは可能でしょう。 実はこれは林業に限った話ではなく、漁業の場合もノルウェーの1/20の1人当たり漁獲量、農業の場合もオランダのナスやキュウリの反収は10倍以上の開きがあるのです。(オランダのアルバイト時給は4500円/時だそうです)。これでは日本人の給与水準は上がるはずがありません。国際比較は重要です。
(ケース2)3年程前ですが、林野庁の有識者委員として、宮崎県の南那珂森林組合に訪問させて頂く機会がありました。この森林組合は平成13年に合併後、少しずつ売上を増やし、今では何と5倍になっていて大変驚きました。 当然、何故こんなに売り上げを増やすことに成功したのか?とお聞きしたところ、何か新しい事業が伸びたとか、管理している森林面積が激増したとか、大きな補助金を毎年もらっているとか、いろいろ想像していましたが、全く予想しない回答がかえってきました。
「メンバー一人一人がやりがいや自己実現を感じられるマネジメント」をしているから、という回答でした。
人材育成、組織活性、人材マネジメントは特に私が所属していたリクルートという企業では様々な最先端の取組がされていました。その根本的な思想は従業員一人一人に自己実現感を如何に得てもらえるかということでしたから、全く同じ回答で大変驚きました。
半年に一度の目標設定のすり合わせ:ここではメンバーが現場に一番近い所で何を感じて何をやるべきと考えているのか?という現場からの意志や考えの吸い上げと経営からの経営目標のすり合わせを行い、優先順位や選択と集中をはかり目標設定を上司と部下双方じっくり話し合って決定し明文化します。
私の場合は直属の部下に対しては週に一度は一対一で話し会える場を設定し、部下がどこでつまずいているのか、何がネックで進まないのか、だけを見てアドバイスをしていました。
リクルートを辞めてわかりましたが、これだけ人材マネジメントに時間をかけ、目標をすり合わせて、明文化し、評価し、次の目標設定に活かすというようなことをしている企業は稀有だとわかりました。しかし、こうしたことをやっている森林組合もあるのです。
OECDからも日本企業には人材マネジメントの問題があるのではないか?と指摘を受けている記事を以前、読んだことがあります。人材育成、組織活性、自己実現感の醸成などできていないと若い人は辞めてしまうかもしれません。人材マネジメントはとても重要な事だと思います。
(ケース3)キリが無いので最後にしますが、以前、地元の飛騨市の「広葉樹によるまちづくり」委員会というものに所属していました。広葉樹に関わる全ての事業者の代表者が参加して、地元の森林の70%に当たる天然林にある広葉樹の活用を検討しました。
驚いたことに同じサプライチェーンを構成している企業が集まったのですが、「初めて会いました」とか「他の事業者が何をしているのか具体的には何も知らなかった」という意見が出てました。それだけ近くて遠い存在で、お互いに相談や意見交換もせず、分業していたんだと思い知らされました。
定期的に何度か集まりの場が設定され、お互いの事がわかり、気軽に相談できる間柄に代わっていき、次第に地元の広葉樹活用のアイデアが出始め、直近の5年で地元の広葉樹の利用量は2倍に拡大、休止していた広葉樹の製材所が再稼働し、市内の広葉樹専用製材所は1軒から2軒に倍増しました。
このように成熟産業だから、とか、古い産業だから、と思っていても売上が何倍にもなる例はたくさんあると思います。少子化問題は国の問題ではなく、企業経営者全員の問題(従業員の給与アップが少子化問題解決の一丁目一番地)だと捉えることが重要です。
・企業、団体の皆様へ 従業員の給与を上げてやりたいのだけれども、今の利益水準では無理、とか、事業の今後の成長戦略が描けない、とか、組織の風通しが悪く問題が起きていてもなかなか伝わってこない、とか、新規事業や新商品開発をしたいのだけれどもやる人がいない、とか、新商品を開発したが売り方がわからない、とか、後継ぎがいなくて将来が心配、とか、様々なお悩みがあるかと思います。
Revitalize社はこうした悩み事に対応できる人材ネットワークを保有しており、適した人材によるご支援が可能です。
以上、ご関心あれば下記までご連絡下さい。 宮本義昭:メールアドレス:ym00876216@gmail.com
(過去のコラム) 第一回:人手不足対策、地域の空き家問題対策、リフォーム事業拡大 【宮本義昭氏コラム】木材産業を成長産業へ! 第1回 - 日本木材青壮年団体連合会
(所属企業、団体) 株式会社バルステクノロジー 代表取締役社長 兼 株式会社KOSO アドバイザー 兼 日本木材青壮年団体連合会 広報委員会アドバイザー 兼 株式会社Revitalize アドバイザー 兼 株式会社Dione アドバイザー 東京科学大学(旧東京工業大学)基金特別会員 プラチナ構想ネットワーク 法人会員 先進EP研究会 会員 Asagiラボ 賛助会員 東海バイオコミュニティ 法人会員 林野庁 森ハブ・プラットフォーム会員 東京丸の内イノベーションプラットフォーム林業分科会 蔵前バイオエネルギー 正会員
(拙著:代表作) |